赤やピンクのハート型が目を惹くアンスリウム。南国をイメージさせるボタニカルモチーフとしてもよく知られています。空間の差し色にもぴったりなアンスリウムを、お部屋で育ててみませんか。
基本情報
アンスリウムの原産地は、熱帯アメリカ~西インド諸島。約600種が広く分布する、サトイモ科の熱帯植物です。自生地では、他の樹木につかまりながら生長する着生種や、つるをのばして生長する品種など、育ち方もさまざまです。
アンスリウムは、観賞用の鉢植え以外に、切り花としても人気です。
アンスリウムの呼び名
名前のベースはギリシャ語で、アンサス(anthosaura:花)+オウラ(oura:尾)が語源といわれています。呼び名は複数あり、日本語でも英語でも、アンスリウムの特徴的な見た目に由来しています。
・和名 …大紅団扇(オオベニウチワ)
・英語 …Tailflower(テイルフラワー:尾のような花)
ハワイでは、Heart of Hawaii(ハート・オブ・ハワイ)という名前で親しまれています。バレンタインシーズンに、ギフトとしてアンスリウムを贈る素敵な習慣もあるようです。
flamingo flower(フラミンゴフラワー:フラミンゴのような花)
花に見えるのは「葉」
アンスリウムの特徴は、花びらのように色づいた葉です。アンスリウムの本当の花は、肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる中央の細長い突起部分です。たくさんの小さな花がぎゅっと寄り集まっているのですが、肉穂花序単体には花らしい印象がありません。ハート型の部分は、花を守るための小さな葉・苞(ほう)です。仏炎苞(ぶつえんほう)とも呼ばれ、サトイモ科特有の花の付き方です。仲間であるスパティフィラム・ミズバショウも同じ咲き方をします。
アンスリウムの花言葉
レッド系でよく知られているアンスリウムですが、カラーバリエーションが他にもあります。花言葉は色ごとに異なります。
・アンスリウム全般 …「煩悩」「恋にもだえる心」
・赤 …「情熱」
・白 …「熱心」
・緑 …「無垢な心」
・ピンク …「飾らない美しさ」
花言葉は海外にもあります。
「hospitality(ホスピタリティ:あたたかいもてなし)」
「happiness(ハピネス:幸運)」
ハート型にちなんだ、“心”を表す花言葉が多いですね。
育て方・選び方
日当たりと環境
アンスリウムは、風通しのいい半日陰(1日のあいだ数時間だけ日が当たる場所)を好みます。お部屋でずっと日に当たる場所ではなく、窓から離れた部屋の内側がおすすめです。強い日差しに当たると、株が弱るだけでなく、葉焼けを起こして外観を損なってしまいます。焼けた部分は回復しません。窓辺に置く場合、カーテン越しに日差しが当たるようにするといいでしょう。
日の光がまったく入らない場所では、花があまりつかなくなります。お部屋の環境にもよりますので、はじめのうちは葉の様子を見ながら、置き場所を決めるようにしてみてください。
アンスリウムは、熱帯育ちのため寒さが苦手です。暖かい春先や、暑さの落ち着く秋口は屋外でも育てられますが、気温が10℃前後になったら室内に入れるようにします。
水やりは土が乾いたか確認してから
通年、土は乾かし気味に育てます。土の表面がしっかり乾いたら、たっぷり水をあげましょう。底から水が滴るまで、鉢に水を行き渡らせるイメージです。次の水やりは、また土が乾いてから。これを反復します。慣れるまでは、実際に土に触れてみて、湿り気があるかないか確かめるようにすると感覚がつかみやすくなります。
土の乾き具合は季節で変わります。暑い季節は水やりの頻度が高く、冬場は間隔が空くようになりますが、水のやり方は変わりません。
土と反対に、葉は多湿を好みます。霧吹きで葉の表裏に水を吹きかけ、湿度を保ってあげましょう。乾燥は、葉の養分を吸い取る害虫をつけやすくなります。暖房を使う冬場は室内が乾燥するため、特に気にかけてあげてください。
花の時期とお世話
アンスリウムの開花は、5〜10月頃です。比較的長く楽しめますが、仏炎苞の色が褪せてきたら、花は茎の根元から切り落としましょう。古い花を切り取ることで、栄養分が次の花に向かいます。少しもったいないですが、咲いた後は早めにハサミを入れてあげましょう。
株の選び方
アンスリウムの鉢を選ぶ際、葉がつややかで緑が濃いものを選びましょう。葉が傷んだり萎れているものは避け、葉裏に虫がついていないかもチェックします。花がついている場合は、苞の発色がいいものにしましょう。
購入したばかりの鉢は、すでに根がつまっていることが多いため、ひとまわり大きな鉢へ植え替えてあげるのがおすすめです。苞や花はやわらかく折れやすいので、つぶしてしまわないよう気をつけてください。
土
水はけがよく、通気性にすぐれた土に植えてあげましょう。アンスリウム専用土、洋ラン用の土が適しています。観葉植物用の培養土を使う場合、パーライトや赤玉土を混ぜ、水はけをよくしてあげるのがおすすめです。これらは100円ショップでも購入出来ます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アンスリウムは、葉と葉のあいだからすっと長い茎を伸ばし、花をつけます。まっすぐに立つ花姿はとても神々しい様子をしています。
育てやすく、花を付けやすい植物です。どうぞ楽しみながら育ててみてください。