根っこが鉢の中でぎゅうぎゅうに詰まった様子を「根詰まり(ねづまり)」と呼んでいます。詰まった根は、植物にどんな影響を与えるのでしょうか?
根の果たす役割
植物は成長すると、背丈が伸び、葉が増えて茂っていきます。成長するのは目に見える部分だけではありません。鉢の中で、根も同じように成長しつづけています。
根の成長は、植物が元気に育つために必要不可欠、決して悪いことではありません。植物の株本体を下から支えることが出来ており、養分や酸素を吸い上げる働きがしっかり機能しているということです。
根詰まりの原因と植物の不調
長く植物を育てていると、鉢の中で根が張りすぎてしまいます。根の量と、鉢内の土の量のバランスが崩れ、根の方が多くなってしまっている状況です。鉢の上にまで根が出てきたり、底から根がはみ出してきているようなら、根詰まりを起こしているサインです。
根詰まりを起こした植物は、うまく養分や水分を吸収出来なくなります。根詰まりは成長を止めてしまうだけでなく、葉が萎れたり色つやが悪くなるなど、植物本体の見た目に影響が現れます。
根詰まりから根腐れへ
元気のない様子に気づいても、根詰まりに気づかなかった場合どうなるでしょうか。萎れているからとたくさんお水をあげたり、肥料をあげたりすると、さらに根にダメージを与えることになります。
多すぎる水分によって、鉢の中で湿気が逃げ場を失い、根が窒息状態になります。弱っている根は栄養をうまく吸収出来ません。肥料による過度の栄養は逆効果となり、根をダイレクトに痛めてしまいます。
痛んだ根は徐々に腐り、根腐れ(ねぐされ)と呼ばれるトラブルにつながります。
根が腐ることは、植物が枯れる大きな要因。また気づかないうちに進行してしまう、起こりやすいトラブルでもあります。根腐れした植物は、カビや害虫を発生させる温床に発展していきます。
根詰まりした植物の対処法
怖いことばかりお伝えしてしまいましたが、根詰まりは植物が元気に育っていれば必ず起こります。怖いのは「根詰まりを放置しておくこと」です。
定期的に、植物の余分な根を切り落とし、植え替えてあげましょう。植え替えは冬場を避け、春先から初夏にかけてお手入れをしてあげるのがおすすめです。頻度は1〜3年に1度くらいでOKです。
【植え替えの手順】
根の状態を確認
鉢から植物を引き抜きます。根が詰まった鉢はきつく詰まっています。株の根元をしっかり支え、無理せずゆっくりと引き出しましょう。
土が飛びますので、下にビニールシートや新聞紙を広く敷いておくのがおすすめです。
引き抜いたら、根についた土を優しく払い落とします。絡んでいる根はゆっくりほぐしてあげましょう。
根を切り落とす
伸びすぎた根を剪定用のハサミで切りそろえます。ハサミは清潔でよく切れるものを使いましょう。腐っている根があれば、一緒に切り落としてしまいます。根の長さは、バランスを見ながら現状の1/2〜1/3まで切り戻します。
鉢を用意する
植物の成長に合わせ、一回り大きな鉢を用意します。あまり大きさを変えたくない場合は元の鉢でも大丈夫です。その際は鉢の内側を乾かし、こびりついた根をきれいにしてから植え替えましょう。
鉢に鉢底石を敷き、土を少し入れます。使う土は新しいものと元の土を混ぜて使うとより良いです。
植物を戻してさらに土を少しずつ入れ、株の向きや角度を整えます。水をやると少しかさが減るため、土は多めに入れます。土を手のひらで優しく押さえ、軽く空気を抜くイメージで整えます。
水をたっぷりあげる
鉢に植え替えたら、水をあげます。鉢底からあふれてくるまでたっぷりあげるようにしましょう。土が水を吸いこみ重くなることで、植物の根が安定します。
受け皿を使う場合は、鉢の水がしっかり切れてからのせるようにします。鉢を持ち上げて水が滴らなければ、水が切れたサインです。
風通しのいい日陰におく
根を切った後は1週間ほど、水やりを控えます。直射日光を避け、風通しのいい日陰で様子をみましょう。やや萎れてくるようであれば、葉に霧吹きで水をあげるのがおすすめです。新しく芽が出てきたらひと安心です。また成長が始まります。
買ったばかりの鉢植えに注意
お店で買った鉢植えは、そのままでも育てられますが、長く育てるために植え替えてあげるのがおすすめです。流通している鉢植えは、小さなポリポットや鉢に入って売られています。土の量が少なく、すでに根詰まり気味になっているものがほとんどです。
鉢植えを購入する際は、元の鉢と同じくらいか、一回り大きな鉢を一緒に用意し、新しい土を使って植え替えてあげると元気に育ちます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。成長が早い植物ほど、根詰まりは起きやすくなります。目に見えない部分だからこそ、根っこの健康にも気を配ってあげたいですね。
お部屋の鉢植えの底をのぞいてみてください。根が出てきているものがあれば、次の春に植え替えてあげましょう。