ハイビスカスの種類と育て方

ビビッドな花色と存在感のある大きな花。ハイビスカスの花は、ひとめで南国気分を連れてきてくれる夏の代表選手です。これから、お花屋さんの店頭にさまざまなハイビスカスの鉢植えがずらりと並びはじめる季節。この夏は、おうちでハイビスカスを育ててみませんか?

目次

ハイビスカスの原種と園芸種

熱帯花木に分類されるハイビスカス。元々は熱帯アジアやハワイが原産といわれています。広がる5枚の花びらの中央から、複数の雄しべが筒状にまとまった「ずい柱」が突き出ているのが特徴です。原種を元に交配を重ねられた園芸種は種類が多く、すでに10,000近いバリエーションがあるとのこと。

品種改良の大元となった代表的な原種には、こんな種類があります。

代表的な原種

ブッソウゲ

花びらが大きく、中央から長く突き出すずい柱が特徴的です。赤い色がよく知られていますが、白や黄色、ピンクの種類もあります。ブッソウゲは丈夫で生育旺盛です。潮風にも強いため、沖縄では生垣に多く使用されています。

フウリンブッソウゲ

花全体が木から垂れ、花柱が垂直に下がる様子が風鈴に見えることから名前がつけられました。くるりと反り返って咲く花びらは、細かく切れ込みが入りフリルのように見えます。

英名では、ジャパニーズ・ランタン。色や形がサンゴに似ているためコーラル・ハイビスカスの名前も持ちます。

ヒビスクス・コキオ

タチアオイの仲間=Hibiscus、原種=Kokioを意味する名前を持つコキオ。花はやや小ぶりで、暖色系の色展開を持つ種類です。ハワイ原産ですが、すでに絶滅の恐れがあると危惧されています。細く糸状になった雄しべが揃って反りかえっているのが特徴です。

ハイビスカスの園芸種

私たちの目に留まる機会が多いのは園芸用に改良されたものが大半です。

園芸種は、大きく3つに分類されます。

ハワイアン系

最も多い系統がハワイアン系です。花が大きく豪華な上、カラーバリエーションが多い点も魅力です。花びら1枚1枚が丸く、5枚広がった様子は大きな円形に見えます。やや性質は弱く、暑さや寒さが苦手なものが多いです。

オールド系(在来系)

花付きがよく、小ぶりの花が多いのがオールド系。ぎざぎざと切れ込みが深い葉を持っているという特徴もあります。比較的丈夫で、寒さ暑さに強い傾向にあります。

コーラル系

フウリンブッソウゲが大元となっているコーラル系。垂れるように木から下向き小ぶりの花をつけます。フリル状の花びらが特徴の一つ。元気いっぱいなハワイアン系に比べると、ややおしとやかな印象のハイビスカスです。

ハイビスカスの育て方

日当たりと環境

春と秋は、日当たりと風通しのいい場所に置いてあげましょう。

真夏のイメージが強いハイビスカスですが、高温多湿は苦手です。特にハワイアン系は暑さに弱いため、明るい日陰で育ててあげるのがおすすめです。

屋外でもよく育ちますが、真夏の直射日光は葉やけを起こすため避けましょう。ベランダに置く場合は照り返しにも注意です。フラワースタンドなど高さのあるものを台にして、熱が鉢にダイレクトに伝わらないようにしてあげましょう。

寒さに弱いため、冬場は室内で育ててあげるようにしましょう。10℃で越冬が可能です。5℃を下回ると休眠します。

水やり

春~秋の生長期は、土が乾いて白っぽくなったら水をあげます。次の水やりは、土が乾ききるまで待ちましょう。

夏場は水分が多く蒸発するため、朝と晩にあげるようにします。

肌寒くなって来たら水やりの頻度を控えめにします。土が乾くまで時間がかかるようになりますので、根腐れを防ぐため、水のやりすぎには注意が必要です。

開花時期と肥料

花が見られるのは5~10月、最盛期は9~10月です。

花をたくさん咲かせるポイントは、「たっぷりの日光」「適度な肥料」「水切れに注意すること」です。

暖かくなってきたら生育期です。効果が2ヵ月程つづく置き肥を、鉢の縁に置いてあげましょう。水切れすると、せっかくつぼみがついてもぽろりと落ちてしまいます。生長期はたっぷりと水をあげるようにしてあげましょう。30℃を超えると生長がゆるやかになり、花付きが悪くなりますが、暑さのピークを越えた頃にまた咲き始めます。

増やし方

切った枝(挿し穂)を土に挿す、「挿し木」での増やし方が一般的です。挿し木は4~7月が最適です。

挿し穂をつくる前日に、鉢全体に水をたっぷりあげておきます。挿し穂にする枝は10cm程でOKです。数枚葉を残した状態で切りとって使います。残った葉が大きいときには半分切り落としましょう。

鉢に鉢底石を敷き、新しい土を入れて、水をたっぷりかけ染み込ませておきます。土の中央へ指で穴をあけ、挿し穂を挿して少し土をかけて固定します。

日陰に置いて、土が乾いたら水をあげるようにします。1ヶ月前後見守り、新しく葉が出てきたら定着のサインです。

ハイビスカスは地植え可能?

通年気温の高い温暖地では、庭木として親しまれているハイビスカス。それ以外の地域では鉢植えが一般的です。最低気温が5℃を下回る場所・冬場に霜の下りる可能性がある地域では、屋外での冬越しが難しいとされています。

ですが、例えば「シンボルツリーとして庭に植えたい」「なるべく自然に近い形で大きく育てたい」場合、冬以外の季節は地植えにして育てる方法があります。

植える環境は、日当たりと水はけのいい場所を選びます。植える種類は、耐寒性が強いものにしましょう。

春~秋の管理ポイント

  • 梅雨入り前に植え付け
  • 1ヶ月に1度防虫剤を散布
  • 肥料を適宜与える
  • 水切れに注意
  • 花がしぼんだら、都度花がらを摘み取る

屋外に置くことで、アブラムシなど害虫がつきやすくなります。葉の裏や枝に目を配り、適宜防虫剤を散布しましょう。ついたままの花がらは虫を引き寄せるため、早めに摘み取ります。

冬越しのポイント

  • 虫がついていないかチェック
  • 土を掘り起こし、鉢に移す
  • 室内で冬越し

株を掘り起こす際、根が多少切れても問題ありません。

やや手間はかかりますが、地植えをすることで、のびのびと大らかな株を育てることが出来ます。

ハイビスカスに寿命はある?

花は1日で萎れてしまうハイビスカスですが、株自体に寿命はあるのでしょうか。

ハイビスカスは、やや性質が弱いため、枯死に直結する要因が多いのも事実です。株が枯れてしまう要因としては、水切れ、アブラムシなどの害虫による被害、直射日光の浴び過ぎ、根腐れ、寒さに負けてしまう、などがあります。

ただ、花をたくさんつけた後にケアをし、冬越しや植え替え、剪定などを繰り返して育てていくことは可能です。葉や花の様子に目を向けて手間をかけ、長い付き合いを見越して育ててあげるのが理想的です。

まとめ

カラフルな色合いで目を楽しませてくれるハイビスカス。咲いているものも売っていますが、鉢を選ぶときにはつぼみがたくさんついているものにしてみましょう。花が開いていく様子もとてもわくわくさせてくれますよ。

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