やわらかい質感と色合いの葉を茂らせるシンゴニウム。小さな鉢で出回っていることが多く、ミニ観葉植物としてもよく知られています。シンゴニウムは日陰に強いため、日当たりの心配なお部屋でも育てやすい観葉植物です。
シンゴニウムの基本情報
シンゴニウムは、サトイモ科シンゴニウム属に分類される多年草。原産地は熱帯アメリカです。ツル性の植物で、茎を長く伸ばし、他の樹木にからまるようにして生長します。
葉の形は、丸みを帯びた矢じり型。明るいグリーンの地に白い斑(ふ)のたっぷり入ったホワイトバタフライが一般的ですが、ピンクやレッド、チョコレートなど、少し変わった葉色のものも人気です。
色素の薄いシンゴニウムは、高温多湿の環境に強く、日差しに弱い特徴があるため、室内で育てるのに向いている観葉植物です。
「心変わり」という花言葉
流通しているシンゴニウムは、大半が若い株です。シンゴニウムの葉は、生長して大きな株になるにつれて、葉の形が大きく変わっていくという特徴を持っています。丸みのある矢じり型・タマゴ型だった幼葉は、切れ込みが増えて深くなり、鳥の足のような形へと変化していきます。
シンゴニウムの持つ花言葉は「心変わり」。
葉が生長するにつれて形を変えていくことに由来した花言葉だといわれています。大人になる切なさをうたったような花言葉ですね。
シンゴニウムは、スパティフィラムやアンスリウム同様、サトイモ科特有の仏炎苞(ぶつえんほう)という形で花をつけます。ただ、観葉植物として出回っているものはいずれも株が幼いため、残念ながら花を見られる可能性は低いようです。
シンゴニウムの育て方
日当たりと環境
木漏れ日のような、柔らかい弱光を好みます。通年、直射日光に当たらない場所で育てるようにしましょう。耐陰性は強く、一切自然光の入らない場所にも置けますが、徒長(間延びしてひょろひょろと生長すること)を防ぐため、時折明るい室内へ移し、光を浴びさせてあげてください。日陰から日向など、極端に環境を変えると負担がかかるため、置き場所を変えるときは時間をかけるようにしてください。
用土
市販の観葉植物用の培養土でよく育ちます。土の代わりにハイドロボールを使い、ハイドロカルチャーとして育てるのにも適しています。
水やり
春~秋は、土が白く乾いてきたらたっぷりあげるようにしましょう。鉢全体に水が行きわたるよう、量は惜しまずにあげてください。鉢底から水があふれてくるくらいの量が目安です。次の水やりは、土が再度しっかりと乾くまで控えます。冬は休眠期に入るため、水やりの頻度を落とし、乾かし気味に育てましょう。
水やりは土の乾き具合を見ながら、生長期は1~2日に1回程度、冬は1~2週間に1回程あげるようにしてください。
葉水を習慣に
シンゴニウムは、株周辺の湿度が高い環境を好みます。下葉が枯れるのを防ぐ効果もあるため、霧吹きを使った葉水で空中湿度を保ってあげるようにしてください。葉の表裏を湿らせ、葉先から滴らないくらいの量が目安です。土への水やりと異なり、葉水は毎日でも大丈夫です。
植え替えと株分け
根が鉢底から見えるくらいになったら、植え替えのタイミングです。5月前後になったら、根を整理し、新しい土に植え替えてあげましょう。株が増えすぎていれば、ざっくり2~3分割に分け、それぞれ植え付けるようにします。
植え替える際は、鉢から株を抜き、古い土を落としながら根を全体の1/3程度まで切り詰めます。鉢底石と新しい土を入れた鉢に株を入れ、さらに土をかけてバランスを整えましょう。
植え替え後は水をたっぷりと与え、風通しのいい日陰に置き、根付くまで様子を見ます。新しい葉が伸びてきたら定着のサインです。
日々のお手入れ
ツルが長く伸びてきたら、先端を切り戻して姿を整えます。剪定の適期は5~9月頃。生長期にはツルがたくさん伸びるため、多少短く切り戻しても大丈夫です。切ったツルを水に挿しておくと根が出ます。そのままきれいなビンに挿し、水耕栽培にしても涼しげできれいです。
ハイドロカルチャーへの植え付け方
増えた株を活かして、ハイドロカルチャーに仕立ててみましょう。土を使わず、無菌のハイドロボールを使うため、キッチンや洗面所、お手洗いにも飾りやすくなります。
ハイドロボールは、高温で焼いた粒状の粘土です。表面に無数の穴が空いた多孔質で、水中でも適度に空気を含んだ状態を保ち、根に酸素を送る役割を果たします。
用意する物
- ガラスの容器(お好みのサイズで)
- ハイドロボール
- シンゴニウムの株
- 水
ハイドロカルチャーの作り方
- ハイドロボールを洗い、容器に1/3ほど入れる
- 根の土を落とし、水で流す
- 容器にシンゴニウムの株を入れる
- バランスを見ながら、ハイドロボールを足して固定
- 完成
水は、容器の1/4程度入れて育てます。徐々に水位が下がり、水がなくなったら足すようにしましょう。容器内の空気を入れ替えるために、完全に水位が下がった状態をつくりながら育てるのがポイントです。
まとめ
シンゴニウムは、小~中くらいの鉢で最も流通しています。大人になった株は、どのように葉の形を変化させるのかも気になりますね。
鉢植えや水耕栽培で楽しみながら、ぜひシンゴニウムを育ててみてください。目にも優しい葉の色は、つい眺めてぼんやりしたくなる癒し系の趣です。