クリスマスシーズンになると、あちこちで見かけるのがクリスマスツリー。ベーシックなグリーンのツリーもたくさんありますが、ホワイトベースやピンクベースなど、さまざまなアレンジバージョンのツリーが見られるのも楽しいですよね。なぜ、クリスマスツリーは誕生したのでしょう。どうしてモミの木なのか?オーナメントの意味は?クリスマスツリーには、世界中の人々の願いが込められてきた歴史がありました。
なぜクリスマスツリーが生まれた?
クリスマスツリーの誕生には、寒い冬でも枯れない「常緑樹」を崇める思いが関連しているといわれています。ルーツは諸説あるようですが、古代・ゲルマン人たちが暮らしていた北欧では、常緑樹は「永遠の命の象徴」として神聖視されていたそうです。また、中世ドイツでは、モミの木には不思議な力を持った小人が宿るとされていました。食べ物や花を供えると、小人が人間に力を与えてくれると信じられていたといいます。
クリスマス(Christmas)は、「キリスト=Christ」+「礼拝=mas」。イエス・キリストの生誕を祝う日だとされています。キリスト生誕の地、ベツレヘムは地中海の東側。エジプトやトルコに近い、比較的暖かい地方です。そのため、北欧で生まれた「常緑樹信仰」と「クリスマス」とは、当初別々のものだったとうかがえます。厳しい冬が訪れる地域での常緑樹信仰をベースにして、キリスト教文化が混ざり合い、クリスマスツリーを飾る習慣が発展していったと考えられているのです。
常緑樹信仰同様、クリスマスツリー自体にも「永遠に枯れることのない命」という意味があります。
なぜモミの木が使われる?
ツリーにモミの木が用いられるようになったのは、キリスト教由来だという説が有力です。「オーディンの樫の木」という神話の中で、北欧のゲルマン民族のお祭り・ユールと、キリスト教宣教師とが出会います。常緑樹を崇めるユールは、宣教師から見れば異教の祭事。宣教師は、正しい道へ導くため、ユールで祀られていたカシの木を切り倒しました。切ったカシの木のすぐそばからは、モミの木が生えてきたといいます。
モミの木の形は三角錐。神を頂点とし、両サイドにキリストと精霊をつなげた「三位一体」の教えを体現した形をしていたのです。以来、キリスト教でモミの木は特別な木として扱われ、クリスマスツリーのルーツになったとされています。
クリスマスツリーの木は、モミの木が代表格ですが、ゴールドクレストやコニファー・ヒバなどの針葉樹が用いられることも多くなってきています。
ツリーのオーナメントに込められた意味
クリスマスツリーには、さまざまなオーナメントで飾り付けをしますよね。それらにも実は意味が込められているのです。
トップスター
キリスト生誕時に、空に輝いた不思議な星。生誕の地・ベツレヘムへ人々を導いたとされる「ベツレヘムの星」が、ツリーのトップスターの由来です。
赤いボール
アダムとイブが食べた知恵の実・リンゴを表しているといわれています。幸福を願い、実り豊かであるように願いを込めて飾られるものです。
ベル
キリストの誕生を知らせ、喜びの音を届けるという意味で飾られるベル。天使がベルを持っているオーナメントも同様です。ベル自体にも、魔を祓う効果があるとされています。
ステッキキャンディ
羊飼いは、杖を使ってはぐれそうになった羊を群れへと戻します。人々を導き、助け合う心を表しているそうです。白と赤のストライプ模様が多いですが、白はキリストの白い心、赤は血と愛を表しているともいわれています。
イルミネーション
光り輝くイルミネーションは、キリスト自身を表しているといわれています。「世の中を照らす明かり」という意味が込められています。
日本だけにある記念日
毎年12/7は『クリスマスツリーの木』の記念日に制定されています。
1886年12月7日、日本で初めてクリスマスツリーが飾られた日。横浜にあるスーパーマーケット・明治屋で、外国人の船員さんたちの為にツリーが飾られたことがきっかけです。明治屋は、開業の地横浜から、東京の銀座へと拠点を移した後も、クリスマスの装飾を毎年続けました。この取り組みが、クリスマスイルミネーションを楽しむ習慣を広く認知させることにつながったとされています。日本独自の記念日ではありますが、クリスマスの準備をするにもぴったりの時期ですね。
まとめ
クリスマスツリーには、さまざまな由来、多くの諸説があり、長い時間をかけて伝わってきた歴史があります。どれか正解で間違っているかは確かめようがありませんが、あれこれと推測してみるのも面白いですよね。
近年は、子供が生まれた記念に、モミの木をシンボルツリーとして植えるご家庭も増えているようです。双方の成長を見守りながら、クリスマスシーズンには一緒に飾り付けをする。年を重ねるごとに楽しい思い出も増えていく、素敵なシンボルツリーになりそうですね。