鮮やかに色づいた花びらを大きく広げて咲くアネモネ。薄い花びらで風を受け止め、ひらひらと揺れる可憐な花は、広い野原によく似合うファンタジックな容姿をしています。切り花としても人気の高いアネモネですが、鉢植えやプランターでも簡単に開花させることが出来ます。アネモネの育て方について、一緒に見ていきましょう。
基本情報
アネモネは、キンポウゲ科アネモネ属に分類される球根植物です。花の名前は、ギリシア語で「風」を指すアネモス(anemos)に由来しています。英名ではウィンド・フラワー(Wind flower)。春先の暖かい風が吹き始める時期に咲くことから、風にちなんだ名前がつけられたということです。
アネモネの原産地は、ヨーロッパ南部~地中海東部沿岸。北半球の温帯~亜寒帯にかけて、約120種が分布しているといわれています。現在、アネモネとして流通している品種は、地中海沿岸原産の球根が改良されたものが中心のようです。
日本に渡ってきたのは明治初期頃とのこと。和名では、「紅花翁草」「花一華」「牡丹一華」の名前を持っています。
球根は一風変わった形
アネモネの球根は、茎が肥大した塊茎が元になっており、大きさは1cm前後と小さめです。一見、とても小さな干しシイタケのような色形です。カラカラに乾燥させた状態では小石のように硬いですが、水を吸うとふくらみ、球根らしい形になります。
アネモネの球根は、平らな方が上、尖った方が下にして植えます。が、形がいびつなため、どちらが上か下か迷うところです。迷ったら横向きに植えるのがいいという有識者の知見もあります。
アネモネの「花」について
アネモネの花びらとされている部分は、実はガク片。そのため、アネモネは花びらのない花と呼ばれています。植物学上では、正確にいえば「花」ではないのですが、大きく開いたガク片=咲いている花として扱う向きが一般的となっています。
開花は長く、2~5月頃まで楽しめます。一重咲きのアネモネがよく知られていますが、花びらの数が多いものや、大輪のもの、花びらがウェーブ状に広がるものなど、花姿は幅広いです。カラーバリエーションは、赤やピンク、白、青、紫色などがあり、単色だけでなくグラデーション状に色付くものも多く流通しています。
アネモネの1年間
球根植物のアネモネは、季節に合わせて姿を変えて育ちます。春に花をたくさん咲かせ、夏が来る前に一旦地上部を枯らして塊根をつくり、休眠して体力を温存します。涼しくなる秋口に芽吹き、生長しながら冬を越し、また春になったら花をつけます。
アネモネは寒さに強く、暑さには弱い性質を持っています。
アネモネの育て方
適した環境
アネモネは、日当たり・水はけ・風通しの良い条件が揃った場所でよく育ちます。土質は水はけのよい土質を好みます。病気や害虫のつきにくい丈夫な性質で、環境が合うと毎年たくさんの花をつけてくれます。
春に花をつけるには、冬の寒さにしっかりと当たる必要があります。冬場は5℃以下の環境をくぐる必要があるため、屋外で育てるようにしましょう。
球根の植え付け
適期は10~12月頃です。暑さがおさまり、からっと乾いた気候になったら植え付けましょう。軽く湿らせた用土に、乾燥したままの球根を植え付けます。球根は土中で吸水しながら育つため、植えつけ直後は水を与えず、4~5日たってから水やりをしましょう。土中で球根は、植え付け1週間ほどで2倍くらい、2週間で3~4倍くらいにふくらみます。2週間を過ぎると発根が始まり、1ヵ月前後で発芽します。
寒冷地での地植えは、深めに植えることが推奨されていますが、関東~以西では3cm程度の深さで植えるようにしましょう。深く植えすぎると、花数が減る要因につながります。
水やり
発芽後~開花を終えるまでは、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげるようにしましょう。次の水やりは、また土が乾くまで待ってからにします。
花が終わり、夏になると、アネモネは地上部を枯らします。地上部が枯れたら、水やりは完全にストップしましょう。雨のかからない日陰に置いて鉢土を完全に乾かしてから、球根を堀り上げます。
アネモネの増やし方
増やし方にはいくつか方法がありますが、アネモネの場合、手軽なのは球根を分けて植える分球と、タネ蒔きで増やす方法があります。
分球
球根を掘り上げて土を落としたら、3日間程、日陰で乾燥させます。アネモネの球根は、古い球根に新しい球根がいくつもくっつき、連なった姿になっています。大きく育ったものを残し、小さすぎるものは取り除きましょう。手で分けにくい場合は無理をせず、カッターを使って上手に分けます。切り口をよく乾燥させ、通気性の良いネットやカゴに入れて保管しましょう。涼しい日陰で管理しながら、植え付け時期まで保存しておきます。
タネまき
アネモネのタネまき適期は10月以降です。気温が高いと発芽しにくいため、日々の気温が25℃を下回るようになってから植えましょう。タネをまいたあとは日陰に置いて、できるだけ涼しい場所で育てるようにしましょう。
まとめ
切り花よりも長く花を楽しめる上、育てる嬉しさも味わえる、アネモネの栽培。球根管理は難しいと思われがちですが、ご自宅で意外と簡単に出来てしまいます。
一度植えたら、毎年花を待てるのも魅力のひとつです。好きな色のアネモネを選んで、ぜひアネモネを育ててみてください!