お料理に使いやすいハーブとして知られているローズマリー。すっきりとしたフレッシュな香りと、松葉に似た、とがった葉を茂らせて伸びる姿が特徴的な植物です。繊細な葉の美しさだけでなく、小さくて可憐な花をたくさんつけてくれるローズマリーは、育てやすい観葉植物としても人気です。
基本情報
ローズマリーは、シソ科マンネンロウ属に分類される常緑低木。原産地は地中海沿岸です。日当たりを好み、乾燥した気候でよく育ちます。
ローズマリーは、種類によって生え方が3種類に分かれます。
上にまっすぐ伸びる立性。
地面の低いところを這うように育つほふく性。
これらの中間にあたり、やや横に広がって育つ半ほふく性。
いずれも、放射状に伸びた葉に、細い葉をたくさんつけて生長します。
学名では、Rosmarinus officinalis。“ロスマリノス(Rosmarinus)”は、ラテン語のロス(ros:露)とマリヌス(marinus:海の)の2語から成り、「海のしずく」という意味を持ちます。ローズマリーが、小さくて可愛い青紫色の花をつけることに由来した名前だといわれています。花色は、青・紫以外に、ピンクや白などのカラーバリエーションがあります。
開花時期は2~10月頃。花言葉は、「思い出」「静かな力強さ」「変わらぬ愛」です。
ローズマリーの育て方
苗選びのポイント
春と秋は、フラワーショップの店頭にローズマリーが並びます。苗は、葉と葉のあいだがぎゅっと詰まっていて、葉の色つやがいいものを選ぶようにしましょう。苗は根元もよくチェックしておきます。虫やカビがいないか、下葉が変色していないかは目視ですぐわかります。
花色や開花時期は、品種によって異なります。青系の色で咲くものが多く流通していますが、購入前に確認しておくのがおすすめです。
初心者の方は、タネより苗から始めると手間が少なく、育てやすいです。タネから育てる場合は、4~5月、9~10月が蒔く適期です。
日当たりと環境
よく日に当たる場所で育てるようにしましょう。強い日差しにも、乾燥にも負けにくい丈夫な性質です。湿度の高い場所は苦手なため、梅雨時や長雨の時期には、雨の当たらない場所に移してあげましょう。
寒さにも比較的強いため、通年屋外で育てることが出来ますが、関東より北の地域では防寒対策をするか、冬だけ室内で育ててあげるのが安心です。
用土
丈夫な性質で、土質を選ばずよく育ちます。乾燥気味の土壌で自生しているため、水はけのいい土になるように心がけましょう。市販のハーブ用培養土か、草花用の土があると、そのまま使えて便利です。
水やり
土が乾いたら、たっぷりと水をあげましょう。地植えする場合は、自然の雨だけでも充分育ちます。鉢植えで育てる場合には、全体に水が行きわたり、底から水が染みだすくらいの量が目安です。
乾燥気味を心がけると、株の丈夫さが増します。土に触れ、しっかり乾いたことを確認してから、水やりをするようにしましょう。
ローズマリーは、乾燥した環境を好みますが、水分が切れると葉がぱらぱらと落ちてしまいます。水やりは、土と葉の様子を見ながら、水切れしないよう気をつけてあげるのがポイントです。
摘芯と剪定
苗が小さいうちは、摘心(てきしん・茎の先をカットして脇芽の生長させる)をこまめにすると、脇芽が増えてこんもりした樹形になります。たくさんローズマリーを使いたい場合は、あらかじめ苗を複数植えておくのがおすすめです。根が張りやすいため、株と株のあいだは広めに取って植えてあげるようにしましょう。
生長が進み、枝が混み入ると風通しが悪くなります。伸びる邪魔をし合う枝葉が出てきたら、適宜切って間引いてあげるようにしましょう。
保存方法
摘芯や剪定で切った枝葉は、フレッシュなまま保存しておくことが出来ます。乾燥を防ぐことで鮮度を保てます。暑い季節は、冷蔵庫で保存しましょう。水にひたして軽く絞ったキッチンペーパーでローズマリーを包み、ジッパーの保存袋に入れて野菜室に入れます。夏以外であれば、切った枝葉を、そのまま水に挿しておくだけでもOKです。
香りを楽しむためにも、早めに使い切るようにするのがおすすめです。
ローズマリーの使い方
抗酸化作用が非常に強いことから、ローズマリーは「若返りのハーブ」とも呼ばれています。
爽やかな風味を添えてくれる効果があるため、肉や魚料理の臭み消しにおすすめです。また、チキンやジャガイモなど、淡泊な味わいの素材と合わせると、風味の良さを楽しめる料理に仕上がります。
ローズマリーやローリエ・パセリなど、ハーブを束ねたブーケガルニは、欧風煮込み料理にも。トマト、ニンニクとの相性も抜群です。
生のローズマリーは、オイルやビネガーに漬け込み、香りを移して長く楽しんでみるのもいいですね。
まとめ
ローズマリーは常緑のため、季節を問わず楽しめるハーブとして定番化しています。お料理だけでなく、アロマテラピー、コスメ、クラフト素材などに幅広く用いることが出来ます。
お家に鉢植えがひとつあるだけで、育てる以外の楽しみ方が出来るのも、おすすめしたいポイントです。