メディカルハーブとしても知られるレモンバーム。ミントによく似た緑の葉をした品種が一般的ですが、明るいイエローの斑が入るものや、ライムグリーンの葉を持つ変わり種の品種も注目されています。見た目にも爽やかなレモンバームは、用途もいろいろ。ハーブをこれから育てたい方におすすめの植物です。
基本情報
レモンバームはシソ科に分類される多年草ハーブで、ミント類の仲間でもあります。原産地は南ヨーロッパ。
薬用ハーブとして用いられてきた歴史は古く、古代ギリシャ・ローマの時代から、暮らしの中に根付いた植物だったと伝えられています。「不老不死の万能薬」とも呼ばれ、葉がハートの形に似ていることから、特に心臓の病に効くと信じられていたようです。
葉はぎざぎざとした波打った形状で、細やかなうぶ毛に覆われています。草丈は30~90cmくらいに育ち、夏に小さな白い花を咲かせます。レモンバームは、レモンに似た爽やかな香りが特徴のひとつ。通年、葉や茎は食用に使えますが、花が咲く頃に摘み取ったものが最も香りが高いといわれています。
和名ではセイヨウヤマハッカ。果樹のそばに植えておくと受粉を助けてくれるミツバチが寄ってくることから、メリッサ(ギリシャ語でミツバチの意味)という別名でも呼ばれています。
花言葉は「思いやり」「同情」「共感」。レモンバームの持つ鎮静効果に由来した言葉だといわれています。
レモンバームの育て方
日当たりと環境
明るい日陰や半日陰でよく育ちます。午前中は日光に当たり、午後からは日陰になるような環境であれば理想的です。レモンバームの葉は、強すぎる光が苦手です。直射日光が当たり過ぎると、葉が固くなったり、茶色く変色したり、葉焼けを起こしたりします。
地植えや屋外栽培にする場合は、程良く日陰が出来る場所を選ぶようにしましょう。冬になると、地上に出ている葉や茎はいったん枯れてしまいます。土中で根は生きているため、また春になると芽吹いてきます。
用土
保水性を持った、肥えた土を好む植物です。市販されている野菜用培養土や、ハーブ専用土を使うと簡単です。
水やり
たっぷりと水を吸って生長するため、土が乾燥しすぎないよう、通年水切れに注意しましょう。土の表面が乾いたら、鉢やプランター全体に行き渡るよう、たくさん水をあげるようにしてください。株元への水やりだけでなく、霧吹きを使った葉水も、害虫予防に効果的です。
植え付けと株分け
春先になると、苗が多く出回るようになります。植え付けを行う適期は5~6月頃。レモンバームは蒸れに弱いため、株間を広めに取って植え、風通しよく育てるのがポイントです。地植えの場合は、株間を30cmくらい空けるのが目安です。
鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐため、株分けを兼ねて2年ほどで植え替えるようにしましょう。
株分けは、寒さのゆるむ3月頃か、残暑の落ち着いた11月頃が目安です。鉢から株をそっと引き抜き、芽や根がついた状態で株を分けます。根を無理矢理引っ張ると弱りやすくなるため、手に取って自然に分かれる位置で分けるようにしましょう。分けた株はそれぞれ新しい鉢と土に植え付け、しばらくは風通しの良い半日陰で芽が出るまで様子をみましょう。
摘心・切り戻し
葉をたくさん使いたいハーブの場合、摘芯(先端の芽を摘むこと)で、葉を増やすことが出来ます。摘心すると脇から芽が増えるので、収穫量アップにつながります。葉を使う場合は、花が咲きだすと葉が小さくなるため、花は咲く前に摘み取るようにしましょう。
また、梅雨に入ったタイミングで、背丈を半分ほどに切り戻しましょう。生長期のため、切ってもまた茎が伸び、葉がたくさん増えます。多湿による蒸れすぎを防ぐことで、その後の生長を助けることが出来ます。
レモンバームの効能
香りが名前の由来にもなっているレモンバーム。レモンのような爽やかな香りですが、酸味はなくすっきりした味わいのため、食用としても用途が広いハーブです。薬効はさまざまですが、リラックス効果や鎮静・鎮痛など、ハーブらしい効果以外にもさまざまな効能があります。
<レモンバームの効能>
- 精神安定効果
- 抗菌・抗ウイルス効果
- 風邪の症状を緩和
- 消化促進
- 脳の健康を維持
レモンバームは特に、脳細胞のストレス緩和と老化を防ぐ働きが強いといわれています。ストレスを減らし、脳の細胞を保護する働きがあることが認められています。その働きによって、記憶力・学習力の改善や認知症が進むのを遅らせる効果があることがわかり、医療分野でも注目を集めています。
まとめ
レモンバームを手軽に楽しむなら、ハーブティーがおすすめです。摘みたての葉に、熱いお湯を注ぐだけ。レモンバーム単体でも美味しいですが、ミントやレモングラスとのブレンドも爽やかさが増すのでおすすめです。
丈夫で、虫がつきにくく育てやすいレモンバーム。葉があるあいだは、いつでも収穫できるのも嬉しいですよね。たくさん育てて、たっぷりとフレッシュハーブを楽しんでみてください。