ぷっくりした小さな葉を茂らせるセダム。愛らしい見た目や、彩りのバリエーションが楽しい人気多肉植物です。同じセダムでも、見た目の異なる品種が数多く流通しています。セダムの魅力は外見だけでなく、その丈夫な性質です。環境になじみやすく、育てやすい。手間がかからず、活躍の幅も広いセダムに注目してみましょう。
セダムの基本情報
セダムは、ベンケイソウ科セダム(マンネングサ)属に分類される植物の総称です。原産はメキシコと位置付けられていますが、出自がはっきりしないものも多いようです。品種は非常に多く、約400~500種がオセアニア以外のほぼ全世界に生息するといわれ、その内約30種は日本に自生するといわれています。
セダムは、山地や海沿いの岩上など、わずかな土に根を張って生息しています。名前の元になったのは、「セダム(sedum=sedre:ラテン語で座るという意味)」。生育環境に由来した名前だとされています。
小さく華奢な葉を茂らせるセダムは、繊細な見た目とは裏腹に、乾燥に強い性質を持ちます。過酷な環境でもよく育つ丈夫さが大きな特徴。わずかな土で育ち、肥料はほとんど必要とせず、こまめな水やりも不要、風にも強い。そのため、グラウンドカバーや、屋外緑化にも用いられる植物です。ガーデニングでの寄せ植えや、敷地の空きスペースを埋める役割、ロックガーデンにも向いています。
セダムは、上に伸びる品種や、這うように横に伸びる品種など、見た目のバリエーションも豊富なため、セダムだけでの寄せ植えでも、組み合わせによって奥行きや立体感を味わえる面白さが魅力です。寒くなると、紅葉して赤く色付く品種も人気です。
花言葉は「待ち続ける」「耐える」「枯れない思い」など。
いずれも、丈夫な生態にちなんで付けられた花言葉だといわれています。
セダムの育て方
日当たりと環境
明るく日当たりのいい場所で育てると、色つやのきれいな丈夫な株に育ちます。鉢植えで育てる際は、風通しと日当たりの確保できる屋外がおすすめです。高温多湿には弱く、葉が溶けてなくなってしまうことがあります。梅雨の時期は、雨のあまり当たらない軒下に置くようにしましょう。夏の直射日光では、葉焼けを起こす可能性があるため、強い日差しの差しこむ時期は、置き場所を調整するようにしましょう。
冬場は5℃を下回らない場所で育てると、きれいな外観を保てます。霜や凍結を避けるため、肌寒くなってきたら、日当たりを確保できる室内に移動させた方が安心です。
用土と肥料
水はけのいい土でよく育ちます。市販の多肉植物用培養土があると簡単です。観葉植物用の培養土では水持ちがよすぎるため、赤玉土や軽石を混ぜて排水性を確保して使うようにしましょう。
基本的に、培養土の養分があるため、特別な肥料は必要としません。肥料が多すぎると枯れる要因にもなるため注意が必要です。
水やり
春から秋にかけては、鉢土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。土表面が真っ白く乾いてから与えるくらいで大丈夫です。水はけがよく、乾いた土は、内部で水分を長くとどめません。水やりをするときは、鉢底から水が染み出てくるくらい、鉢全体にまんべんなく行きわたるくらいたっぷりとあげるようにしましょう。
冬は休眠期に入るため、乾かし気味で育てるようにしましょう。根腐れをしないよう、水をあげたあとは受け皿にたまった水は捨てるか、スポンジなどでよく吸い取っておきましょう。
剪定
生長期にあたる3~5月頃に、剪定をしてあげるようにしましょう。
上に伸びるセダムは、長く伸びすぎたら好きな位置で刈り込みましょう。横に広がる品種は、蒸れ防止のため、間引いたり、半分くらいの高さに切り戻したりするようにしてください。
間引いた葉を使って、葉挿しや挿し木で増やすことが出来ます。
増やし方
真夏を避け、3~5月か、10月頃に施すのがおすすめです。
セダムのタイプによって、合う増やし方が異なります。
葉挿し
葉が肉厚で、茎が短い品種に合う増やし方です。葉を取り、土の上に並べておくだけで根が出てきます。葉は、手で軽くひねるだけで傷めずに外せます。
挿し木
茎が長く伸びる品種に適した増やし方です。先端から10cm前後の長さで切り、下側の葉は取り除いておきます。日陰に1週間ほど置いて切り口を乾かした後、土に挿して発芽させましょう。
株分け
子株が増える品種は、株分けで増やせます。大きく育った株を鉢から抜き、両手で割くか、ナイフ等を使って切り分けましょう。切り口をよく乾かして、新しい土に植え付けます。
植え替え
鉢が根でいっぱいになったら、植え替えをしましょう。生長速度によって異なりますが、1~2年に1回程度が目安です。適期は、生長期にあたる3~5月頃。植え替える際は、株についている古い土を落とし、新しい土を入れた鉢に植え付けましょう。
まとめ
セダムは品種数も多いため、コレクションする楽しみ方もあります。大きさを揃えた鉢に、それぞれ異なるセダムを植えて並べたり、大きな鉢にセダムを寄せ植えしたり。葉色や葉の形が異なっていても、丈夫な性質は共通しています。鉢との組み合わせで、雰囲気を変えることも自在です。ご自身だけの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。