ガーデニングや寄せ植えで人気の高いゼラニウム。葉が持つフレッシュな香りは、アロマテラピーや入浴剤、スキンケア用品にも多く用いられています。花を楽しめるだけでなく、活用範囲も幅広いゼラニウムには、数え切れないほどの花言葉がつけられています。
ゼラニウムとは?
フウロソウ科テンジクアオイ(ペラルゴニウム)属に分類されるゼラニウム。南アフリカのケープ地方を原産とする多年草です。ケープ地方からオランダ、イギリスやフランスへと広まったゼラニウムは、江戸時代末期に日本に渡来したといわれています。和名では「テンジクアオイ(天竺葵)」。天竺=異国産という意味を持ちます。海外から渡ってきた、アオイの葉に似た植物ということから名前がつけられたようです。
ゼラニウムの葉は、独特の青臭さを持ちます。ヨーロッパでは、その香りに虫除け効果があるとされ、窓辺に飾る習慣があったそうです。日本でも、香りに特徴があるゼラニウムは『センテッドゼラニウム』と呼ばれ、高い人気を誇っています。バラに似た香りを持つローズゼラニウム、レモンのようなすっきりした香りを持つレモンゼラニウムなど、香りの種類もさまざまです。
ゼラニウムの花
品種数の多いゼラニウムは、一年草、多年草、低木など、性質もそれぞれ異なっています。そのため、開花時期も幅が広く、3~12月までと長く楽しめます。
ゼラニウムの花は、1本の花茎に対して複数の花をつけ、茎の先端でボール状にかたまって咲きます。花色は、赤、ピンク、白、オレンジ、紫など。花の形にも、星型やフリル状のもの、一重咲き、八重咲きのバリエーションがあります。
花だけでなく、ゼラニウムは葉もきれいです。円形の葉に褐色の斑(ふ)が入るもの、モミジのような形かたちをしたものなども。葉はやや厚めで、茎は瑞々しくしっかりとした太さがあり、乾燥に強い特徴を持っています。
ゼラニウムの花言葉
全般に共通する花言葉
「尊敬」「信頼」「真の友情」
ゼラニウムには、その香りにちなんだ花言葉が数多くつけられています。特有の香りは、虫除け効果だけではなく、古くは魔除けや厄除けとしても用いられてきた歴史があるといいます。これらの背景が由来となり、「尊敬」「信頼」の花言葉が生まれたのではないかといわれています。
「真の友情」は、ゼラニウムの花が、花茎の先端に集まって咲く様子からついたとされています。小花が中心に集まり、寄り添うように咲いている姿からつけられた言葉だということです。
その他にも、ゼラニウムにはたくさんの花言葉がつけられています。
「愛情」「恋わずらい」「気まぐれ」「お人好し」「慰安」
「子供への愛」「器用」「創意」「無気力」 など
ゼラニウムがヨーロッパで大流行した頃、同時に花言葉という文化も流行したそうです。ブームの相乗効果によって、どんどん花言葉がついて増えたのではないかといわれています。
色別の花言葉
花色が豊富なゼラニウムは、色ごとに花言葉がつけられています。
・赤 …「あなたがいて幸せ」
・ピンク …「決心」「決意」
・白 …「私はあなたの愛を信じない」
・黄色 …「予期せぬ出会い」
・真紅 …「憂鬱」
「憂鬱」という花言葉は、ゼラニウム特有の青臭さに由来すると解釈されています。「虫も嫌う匂いであることから」と見る向きが一般的ですが、「ゼラニウムの香りが、愛する人を思い出させたから」という、発展形の解釈もあるようです。
海外の花言葉
<全般に共通>
「true friendship(真の友情)」
「stupidity(愚かさ)」
「gentility(育ちの良さ、上流気取り)」
<色別の花言葉>
・赤 …「protection(保護)」「preference(優先、好み)」
・ピンク …「doubt(疑い)」
・白 …「indecision(優柔不断)」
・黄色 …「unexpected meeting(予期せぬ出会い)」
・真紅 …「melancholy(憂うつ)」「consolation(慰め)」「comfort(慰め、癒し)」
由来には諸説ありますが、上級階級の人たちがゼラニウムを好んで育てていたことが反映されているようです。また、「愚かさ」という花言葉は、虫が避けるほどの香りから発展したイメージの花言葉だといわれています。
品種別の花言葉
・センテッドゼラニウム
花言葉:「好み」「思いがけない出会い」「君ありて幸福」「真実の愛情」「決心」
ハーブゼラニウムとも呼ばれ、さまざまな香りのバリエーションを含んだゼラニウムです。ローズやレモンの他、ミントやイチゴなどの香りを持つものが存在しています。
・アイビーゼラニウム
花言葉:「真の愛情」「結婚」「婚約の贈り物」
アイビーに似た葉を持ち、茎が下に垂れて生長するゼラニウムで、別名ツタバゼラニウムとも呼ばれています。花は年間を通して咲き、垂れさがる性質を活かして窓際に飾ったり、ハンギングで育てたりするのに向いています。
まとめ
ゼラニウムには、たくさんの花言葉がつけられています。品種数が多い花はたくさんありますが、花言葉まで多い花はそうありません。いかにゼラニウムが人々に愛されてきたのか、その歴史がうかがえるようです。
茂らせた丸みのある葉の中から、まっすぐに花茎を伸ばして花をつけるゼラニウム。ヨーロッパの街並みや窓辺を飾ってきたのは、虫避け効果だけではなく、花自身の美しさもあったからではないでしょうか。