縁取りのように、模様のように、葉の表面を飾る斑(ふ)。斑が入った観葉植物には、どのような種類があるのでしょうか。斑を保つ育て方もまとめてみました。
斑入りとは?
葉の緑色の部分に、異なる色が入り込んだものを斑(ふ)と呼びます。斑の色には、白や黄色、ピンクや赤などがあります。入り方もさまざまです。葉全体に散らばったり、縁取るように入ったり、模様のような入り方をするものも。
斑入りの観葉植物は、葉にニュアンスが加わることで、個性的な表情を見せてくれます。単色よりも涼しげで爽やかな印象になるので、暑い季節は、斑入りの方が売れ行きがいい傾向にあるようです。
斑入りの観葉植物
アイビー(へデラ)
観葉植物の定番・アイビー。ツルをのばしながら可愛い葉を茂らせていく人気の植物です。葉の形に丸みがあるものやとがったものなど、葉の持つ特徴にも種類があります。斑は黄色や白が縁取りのように入るものが主流で、ナチュラルな雰囲気によく合います。
アイビーには、「結婚」「永遠の愛」の花言葉があり、ウエディングの装飾や髪飾り・ブーケに用いられることも多い植物です。
サンスベリア(サンスベリア・トラノオ)
肉厚の剣状の葉を持つサンスベリア。観葉植物の中でも、空気清浄効果が特に高いことが認められている植物です。丈夫で育てやすく、「永久」「不滅」など、縁起のいい花言葉を持つことから、お祝いの贈り物としても人気の植物です。斑の色は黄色や白。葉を縁取るように真っすぐ入ります。横縞のように斑が入ることから、「トラノオ」とも呼ばれます。
サンスベリアは、切り取った葉を使った葉挿しという方法で増やすことが出来ますが、葉挿しによって斑の出方が変化し、消えることがあります。
ヒポエステス
葉の表面に、細かく水玉状の斑がちらばるヒポエステス。葉の様子から、和名では「ソバカスソウ」とつけられています。特徴は、葉に入る鮮やかな斑の色。ヒポエステスの斑は、シンプルな白だけでなく、明るい赤やピンク色の斑が入ります。寒さにはやや弱いですが、環境になじみやすい性質で育てやすいです。
華やかな様子にちなんだ花言葉は「すべての人々への優しさ」「美の秘密」です。
フィカス・アルテシーマ
つやつやと丸くて大きな葉を持つ、フィカス・アルテシーマ。ゴムノキの仲間で、中~大型の観葉植物の中で人気のある観葉植物のひとつです。ライムグリーンの斑が入る葉は鮮やかな黄緑色。生き生きと葉が茂る様子は、お部屋の印象を明るくしてくれるので、リビングを飾るのにおすすめです。
ゴムノキ共通の花言葉は、「永遠の幸せ」という言葉がつけられています。結婚や新築のお祝いにもおすすめな観葉植物です。
斑が消えてしまう理由
買った頃は斑があったのに、長く育てるうちに斑が消えてしまうことがあります。なぜ消えてしまうのか、原因を解説します。
①日照不足
葉をかたちづくっている無数の細胞の中には、「葉緑体」という小さな器官があります。葉が緑色をしているのは葉緑体があるためです。斑入りの植物の場合、斑の部分には葉緑体がないため、葉の色が異なって見えます。
葉の葉は光を受けて光合成をして、栄養分となるデンプンをつくりだす働きをしています。鉢が光の入りにくい場所にあると、なんとか効率よく栄養をつくろうと、斑の部分に他の葉緑体が集まってくるようになります。その結果、斑が緑色に変わってしまい、単色の葉ばかりが出るようになるのです。
②先祖返り
元々、斑入りの観葉植物は、何らかの原因で一部の葉緑体が失われてしまった植物です。人間にも「隔世遺伝」がありますが、植物も同様です。親株にはなかった特徴が、子株に発現するケースがあります。
これといった原因がなく、斑が出なくなる場合もあります。日照不足ではない場合、突然変異の可能性が高いです。斑入りのメカニズムは、まだ解明されていないことが多いため、これを試せば復活する、という方法が残念ながらありません。
斑がなくなっても、葉が元気で美しいことに変わりはありません。また斑が出る可能性もあるので、大事に育ててみてください。
斑入りを長く楽しむ育て方
日光の調整
斑入りの植物は、緑1色のものに比べやや弱く、丈夫さに欠ける傾向があります。緑1色のものよりも、日の光の当たり方に気をつけてあげるのがおすすめです。直射日光が当たるのを避け、明るい室内や半日陰(半日ほど光が入る場所)で育ててあげるようにしましょう。ほどよく日光に当たることで、斑が薄くならず、きれいなまま育てることが出来ます。
新芽の剪定
新芽に斑がなく、緑1色の葉が出てきたら、茎ごとハサミで切り落としましょう。斑が消えると復活しなくなります。春~夏の生長期は葉がどんどん増えますので、新芽の様子を気にかけてあげてください。単色の新芽を切れば、次はまた斑入りの新芽が出てきます。
まとめ
斑入りの観葉植物は、同じ種類の中でも模様の出方が異なるものが多いです。斑の割合が変わるだけで、印象も違って見えます。葉を増やすたびに表情を変えながら育っていく斑入りの観葉植物、どうぞ注目してみてください。