ふわふわと、細くとがった葉を無数に茂らせるアスパラガス。繊細な葉が風を含んで揺れる姿は涼しげで、水の中に漂う水草のような趣があります。吊り鉢としても人気の高い観葉植物・アスパラガスの魅力や育て方についてまとめました。
アスパラガスの基本情報
アスパラガスは、ギリシア語で“刺す”を意味する“アスパラッソ”に由来した名前です。野菜のアスパラガスと種類は異なり、こちらは食べられませんが、同じグループの仲間です。
細い針状の葉は、実は茎。茎の形が葉のように変化した姿をしているため、仮葉(かよう)・偽葉(ぎよう)とも呼ばれています。
自生地では、他の木に寄りかかり、からみつきながら生長していく植物です。生長するにつれて茎は木質化し、大きくなると2mを超えるものも。枝を細かく分けながら生長し、横に広がるように育つ性質があります。鉢で育てると、伸びた茎がやわらかく枝垂れるので、高い場所に置いたり、吊るして飾ったりするのもきれいです。
アスパラガスの育て方
日当たりと環境
1年を通して、明るい半日陰で育ててあげましょう。屋外の半日陰で育てることも出来ます。真夏以外の季節は、出来るだけ明るい場所で育てると美しい姿を保てます。強い直射日光は株が弱り、葉が黄色く変色するため避けるようにしましょう。
耐寒性はありますが、冬は室内管理の方が安心です。暑さが落ち着いたら室内へ移し、環境に馴染ませてあげてください。
極端に気温が低くなると、地上部の葉がすべて枯れてしまうことがあります。ただ、根は生きていることがほとんどです。枯れてしまっても、暖かい季節が来るとまた新芽が出ますので、春まで待ってみましょう。
気温
生育に適した気温は、15~30℃くらいです。夏になり、気温が35℃を超えると生育が鈍くなりますが、暑さが落ち着くとまた葉を出します。耐えられる最低気温は5℃程度です。室内で育てる場合は問題なく冬越し出来ます。
用土
水はけのいい土を好みます。市販の観葉植物用の土を使いましょう。水はけをよくするため、2割ほどパーライトを混ぜ込むのもおすすめです。
水やり
根が多肉質のため、乾燥に強い性質があります。水のやり過ぎによる根腐れには通年気をつけましょう。
水やりはメリハリを意識し、土の表面が乾いたら、たっぷりとあげるようにします。次の水やりは、土がまたしっかり乾くまで待ちましょう。夏に比べ、冬は根が水分を吸わなくなるため、土の乾き方は遅くなります。水やりの頻度は、生長期は1日1回程度、冬は2週間に1回程度が目安です。
空中湿度が低い状態が続くと、葉がパラパラと落ちるようになります。霧吹きを常備し、葉に水を吹きかけてあげるようにしましょう。
剪定・お手入れ
葉が長く伸びすぎてバランスが悪くなって来たら、剪定しましょう。剪定する場合は、春~秋の生長期が適しています。通年剪定して問題はありませんが、暖かい季節はカットしてもすぐ伸びるため、刈り込みすぎてもリカバリーが効きます。切った箇所から新芽が出てきますので、切る場所はどこでも大丈夫です。
アスパラガスは生長が早く、葉が古くなり落葉します。株元に落ちた葉は、こまめに取り除いてあげましょう。茶色く変色した葉は根元から切り取ってあげることで、外観を保てます。
植え替え
アスパラガスは生長速度の速さは、葉も根も同じです。長く植え替えずにいると、素焼き鉢を割ってしまうことがあるほどのスピードです。根が張りすぎると、剪定バサミでも刃が立たなくなることがあります。1~2年に1回は根を整理し、新しい土に植え替えるようにしてあげましょう。
また、購入したばかりの鉢は、すでに根詰まり気味なことも多いため、出来る限り植え替えてから育ててあげるのがおすすめです。植え替えは真夏を避け、春か秋に行います。
- 鉢から株をゆっくりと引き抜く
- 古い土を落としながら、根を1/3程度まで切り詰める
- 鉢に新しい鉢底石と土を入れ、株を植える
- たっぷりと水をあげて、風通しのいい場所に置く
ハサミを使う際は、株元をよく見て、茎を傷つけないように気をつけましょう。切りにくい場合は、小型のノコギリを使うのもおすすめです。
根の部分に、モミガラのような塊がありますが、これは貯水根と呼ばれる根の一部です。無理に切り取らず、そのまま植え替えてあげてください。
増やし方
アスパラガスは株分けで増やすことが出来ます。植え替えの際、一緒に行うのがおすすめです。親株を2~3分割し、それぞれ鉢に植えます。小分けにするとその後の生長が衰える可能性があるため、大きく分けるようにしましょう。
鉢に植え付けた後は、風通しのいい日陰に置き、土を乾かさないようにしながら様子を見ます。特に大きく萎れる様子がなければ、徐々に通常の管理に戻して大丈夫です。
まとめ
明るいグリーンの葉がやわらかく垂れる様子は、とても美しく、癒されます。アスパラガスは、和風にも洋風にも馴染む観葉植物です。鉢でイメージが変わりますので、好みのインテリアに合わせた鉢に植えて飾ってみてください。