植物を育てる際、植木鉢に入れる「鉢底石」。ホームセンターや100円ショップの園芸コーナーに必ず置かれているアイテムです。植物を育てるときに、鉢と一緒に準備することを推奨されるケースが多いですよね鉢底石は、なぜ必要なのでしょうか。その役割と使い方について解説します。
鉢底石(はちぞこいし)とは?
鉢底石は、文字通り鉢の底に敷き詰める石のことです。植木鉢やプランターの下に、小さな穴があるのを見たことはありませんでしょうか。これは、鉢の中の水はけをよくするために開けられています。この穴をふさぐようにして敷き詰めて使うのが鉢底石です。鉢底の穴から土が漏れてしまうのを防ぐだけでなく、あるとないとでは、植物の生長に大きく関わってくるのです。
使う適量とは?
目安として、鉢の1/5程度にしましょう。深い鉢の場合は、1/3程入れても大丈夫です。明確な決まりはありませんが、鉢底石が多すぎると入れられる土の量が減り、少なすぎると効果がなくなります。
植え替えの際には、株が安定するバランスを見ながら調整しましょう。多すぎたり、少なすぎたりした場合はうまくいくまでやり直してしまうのも手です。
再利用で長く使える
一度使った敷いた鉢底石は、再利用が出来ます。使用後の石の状態を確認し、カビがないかチェックしましょう。しっかり水洗いをし、天日干しで乾かすことで殺菌処理が出来ます。
ネット入りの鉢底石の場合は、ネットの中で石を転がしながら念入りに洗い流し、内部まで乾かすようにしましょう。ネットが古くなっている場合、破って取り出した石をそのまま使うか、代用品のネットに入れ替えて使うようにしましょう。
鉢底石の持つ役割
水はけの確保
観葉植物は、水はけのいい土壌を好むものが多いです。鉢底石を敷くことで、鉢の内部に程よく隙間がつくられ、余分な水分が排出されやすくなります。土の配合でも調整は出来ますが、鉢底石があることで、鉢全体の環境を整えることが出来ます。
通気性の確保
植物は、根からも呼吸をします。鉢の内部に隙間がない状態だと、空気が通らないため、酸素不足によって根の生長が妨げられてしまいます。通気性が悪いことで常に湿った状態になりやすく、さらに根は弱り、根腐れを招くことにつながります。
害虫予防
観葉植物には、害虫がついてしまうことがあります。害虫予防は、葉や土の表面だけでなく、鉢穴からの侵入にも注意したいところです。鉢底石があることで、栄養分のある土までは距離が出来るため、万が一の侵入を防ぐことが出来るのです。
鉢底石に適した素材
では、鉢底石に使う石は、なんでもいいのでしょうか。
一般的に、園芸用の鉢底石は軽石が多く使われています。水中にも浮かぶほど軽いため、別名「浮石」とも呼ばれています。丈夫で型崩れしにくく、長く使えるという特徴があります。
軽石は、火山灰がベースとなって出来た用土のひとつ。これらには多孔質と呼ばれる特徴があり、表面に目に見えない穴がたくさん空いています。凹凸が無数にあることによって、程良く空気や水分をつかまえつつ、余分な水分を逃がす働きをしてくれるのです。
また、軽石を使う場合、多く敷き詰めても重さが出ないため、鉢の重さを軽減できる効果もあります。
軽石には、人工のもの・高温焼成し殺菌処理がなされたものなど、工夫がなされたものが多く販売されています。
軽石以外にも、鉢底石に使用できる素材があります。
- 赤玉土(大玉)
- パーライト
- 黒曜石
- 発泡スチロール(荒く砕いたもの)
- コルク
軽石に比べると、やや経年劣化しやすい素材もあります。植え替え時にチェックし、必要に応じて新しいものに交換してあげるようにしましょう。
プラスアルファであるといいもの
鉢底ネット
鉢穴をふさぐため、鉢底石を入れる前に敷くネットのことです。鉢に合う大きさにカットし、底に敷いて使います。鉢底石と合わせることで、土の流出を防ぐ効果がさらに高くなります。100円ショップでも購入できますが、代用品としてミカンのネットや洗濯ネットを使っても大丈夫です。
ネット入りの鉢底石も販売されています。鉢底ネットを使う手間が省ける上、安心感があるのでとても便利です。
また、鉢底ネットには下のような立体的でかつ機能的なものが販売されています。もし、絶対に枯らしたくない!といった方は、これらの鉢底ネットを活用してみるのもよいでしょう。
木炭
高温で炭化した鉢底用の木炭があります。単体で使える大粒もありますが、鉢底石と合わせて敷くことで、雑菌・害虫を予防し、不純物を浄化してくれます。また、肥料成分の流出をマイナスイオン効果で止めてくれる効果もあるため、土の成分が劣化しにくくなるというメリットがあります。
まとめ
正直なところ、鉢底石がなくても植物は育ちます。ですが、長く管理することを考えると、敷いておくひと手間だけで、植物の生長を助け、リスクを減らせる優れものでもあるのです。
粒の大きさにもバリエーションがあり、粒が大きいほど水はけがよく、小粒なほど水持ちがよくなります。育てる鉢の大きさや、植物の好む環境に合わせて使い分けてみましょう。