ガラス容器に伸びる根と、上に向かってほころんでいく花。球根栽培の醍醐味は、植物が少しずつ育っていく過程を眺められるところです。きれいに花が咲いたら、切り花にして楽しむのもおすすめです。手軽に始められる、球根の水耕栽培についてご紹介します。
水耕栽培とは?
文字通り、「水のみで育てること」を指します。観葉植物だけでなく、野菜のヘタやアボカドのタネを使った水耕栽培もよく知られています。
球根を使った水耕栽培は、球根の下部分、根が出るところだけを水につけて置いておくだけ。球根は、品種によって大きさが異なります。栽培には、水底に落ちて沈まないよう、球根を支える仕様になった「バルブベース」と呼ばれる、球根栽培専用の花びんが便利です。バルブベースを使って育てると、どんな大きさの球根でも栽培ができるため、初心者の方でも失敗しにくく育てやすいです。
球根の水耕栽培は、土を使わないため、簡単に始めることが出来ます。衛生的で管理も楽なところもオススメしたいポイントです。
水耕栽培向きの球根
ヒヤシンス
まっすぐ伸びた花茎に、星型の小さな花をたくさん咲かせるヒヤシンス。水耕栽培の定番ともいわれ、育てやすい品種です。花が開くと、フレッシュな良い香りが部屋に漂います。
ムスカリ
ブドウの房のように、粒状の花を連なって咲かせるムスカリ。グレープヒヤシンスとも呼ばれています。鮮やかな青い花が知られていますが、白やピンクなど、優しい花色で咲くものも人気です。
クロッカス
花の中心を包むように、丸みのある花びらをやわらかく広げるクロッカス。花色は、パープル系、イエロー系、白系です。春咲きと秋咲きの品種があり、いずれも丈夫で育てやすい性質を持っています。
水耕栽培のやりかた
はじめる適期
球根の水耕栽培は、10~12月頃までにはじめるのが一般的といわれています。理由は、水耕栽培に適した品種には、春に開花時期を迎える『秋植え・春咲き』と呼ばれる性質のものが多いからです。秋植え球根は、寒い冬を球根の状態で越し、春になったことを察知して芽吹き、開花します。
ただ、時期を過ぎてしまっても、栽培ができないわけではありません。遅い時期に始めると、栽培を楽しめる期間は短くなります。ですが、花が大きくなりすぎないため、自重で花が倒れにくいというメリットがあります。
球根の選び方
よく太っていて、持つとずっしりと持ち重りのするものが理想です。ネットでも購入できますが、ホームセンターやフラワーショップで、実際に見て選べると安心です。
球根自体に傷が付いていないもの、カビがついていないもの、指でかるく押してもへこまないものが理想です。また、球根が小さく分かれておらず、単体の球根になっていることもポイントです。
使える容器
水が漏れない容器であれば、なんでも使えます。バルブベースは、1つにつき球根1個ですが、底の広いガラス容器などに複数の球根を入れて育てるのもおすすめです。底が平たい容器を使う場合は、きれいな石やビー玉などを敷いて高さを出し、球根が水に浸かりすぎないようにしてあげましょう。初めて育てる場合であれば、市販の球根栽培専用キットやバルブベースを使うのが安心です。
水耕栽培は、容器で遊べるところも魅力。きれいな空き瓶や、レトロな牛乳ビン、浅めのフラワーベース、ビーカーなど、インテリア性の高いガラス製の容器を使ってみましょう。
水の管理
水量は、球根のおしり部分が数mm程度浸かる量を目安に入れましょう。多すぎると球根が腐りやすくなります。水は、新鮮なものを使います。容器内の水の交換は、2〜3日に1回行うようにしましょう。
根が出てきたら、少しずつ水位を落としていきます。根の先が1/3程が浸かるくらいに調整しましょう。根が乾きすぎると、生長がとまります。水替えや水量調節は、こまめに様子を見ながら施してあげてください。
根腐れ防止剤
水耕栽培の場合、根腐れ防止剤を使うとより安心です。球根は、水に浸かっているおしり部分にカビが生えやすく、根腐れを招きやすくなります。小石状の薬剤を、容器の底が埋まるくらい敷いておくことで、水質浄化効果が期待出来ます。根腐れ予防だけでなく、水の交換頻度を下げることが出来るので、すこし手間が省けるメリットも。根腐れ防止剤を使う場合、水替えは1週間に1回程度が目安になります。
日当たり
根が出るまでは、なるべく暗く涼しい場所で育てます。理由は、球根に土の中だと錯覚させるため。球根を入れた容器ごと、箱をかぶせて覆ってあげるのもおすすめです。
根が伸びると、今度は芽が出始めます。発芽〜開花までは、窓際など明るく日の当たる場所に移してあげましょう。発芽した後はしっかりと光を当てます。日光をたくさん浴びるうちに、少しずつ花芽がついていきます。暖かい場所に置くと早く咲きますが、咲き終わりも早くなります。やや涼しい場所で育てることで、長く花を楽しめます。
来年も咲かせるために
球根は、花を咲かせおわると、内部の栄養分を使い果たします。同じ球根を使って、翌年も栽培したい場合は、しっかりと栄養補給をしてあげましょう。花が咲いた後の球根を土に植え、液肥を1週間から10日に1度のペースであげ続けましょう。栄養補給がしっかりできた球根は、開花時期前になったら再度掘り出し、栽培する事が可能です。
まとめ
春から始める場合、鉢植えでつぼみになった球根を、水耕栽培に切り替えてしまうのもおすすめです。鉢からそっと球根を取り出したら、水でよく土を洗い流しましょう。根は短く切り詰めてしまっても大丈夫です。球根をバルブベースや容器に移せば、簡単に水耕栽培を始めることが出来ますよ。ぜひ試してみてください!