空間に、上品な清涼感を添えてくれる熱帯植物。いまおすすめしたいのは、ホマロメナという観葉植物です。見慣れたサトイモ科固有のハート型の葉をつけますが、注目したいのはその質感や色合い。人とは違う、少し変わったものを育ててみたい、高級感を演出してみたい方にぴったりの植物です。
基本情報
サトイモ科ホマロメナ属に分類されるホマロメナ。原産地は東南アジアや南アメリカです。ホマロメナ(Homalonema)は、ギリシャ語でhomalos(平らな)とnema(糸)という意味で、雄しべの形に由来しているといわれています。花は、サトイモ科の特徴でもある仏炎苞(ぶつえんほう)と肉穂花序(にくすいかじょ)をつけ、葉のかげに隠れるようにして咲かせます。
パルダリウム向きの観葉植物
ホマロメナは、熱帯雨林地域のように空中湿度が高い環境を好むうえ、水中でも育つ品種が存在します。そのため、鉢植えだけでなく、パルダリウムにも向いているのです。
パルダリウムは、水槽やガラス容器の中で熱帯植物を育てる楽しみ方です。外気に触れにくく、環境が保ちやすいのが特徴。保温や保湿が比較的管理しやすいため、グリーンインテリアの楽しみ方としても人気です。設備を揃える必要がありますが、専用のLEDライトで植物を育てるため、日の当たらない室内など、一般的に観葉植物が育ちにくいスペースを有効活用出来るメリットもあります。
ホマロメナの種類
ビロードに例えられる美しい葉が特徴のホマロメナですが、葉の色や形も原産地によって変わり、バラエティーが豊かです。ベーシックなグリーン系の他、茶系、シルバー系に分かれ、質感もつややかな表面を持つものや、マットな質感を持つものとさまざま。丸みのある広い葉や、細い葉など、同じホマロメナの仲間でも異なった特徴を持つものが少なくありません。
ホマロメナ ルベスケンス
葉脈に沿った模様が上品な印象を与えるルベスケンス。柄が赤く、新葉は赤褐色をしているのが特徴です。グリーンと赤のコントラストがきれいな品種で、ホマロメナの中でよく知られる、メジャーな品種です。
茎が伸びるにつれ、ガジュマルのように気根が伸びてきます。空気中の有害物質を除去する働きがあるといわれ、空気清浄効果も期待できる植物です。
ホマロメナ ルベスケンス
深い緑色と光沢のあるハート型の葉を持つエメラルドジェム。ルベスケンスとよく似ていますが、茎もきれいなグリーンをしているところが異なります。葉がたくさん茂っても、どこか静かで大人っぽい印象を含んでいる品種です。
ホマロメナ サンシャインジェム
イエローに近い明るい葉色と、繊細にはりめぐらされた美しい葉脈がきれいなサンシャインジェム。比較的丈夫で育てやすい性質を持っています。多湿を好むため、空中湿度を高めに保つのがおすすめです。
ホマロメナ ワリシー カモフラージュ
斑入りのホマロメナも人気です。ランダムに迷彩模様が入ったワリシーは、アグラオネマピクタムにもよく似ています。流通量が少なく、希少性が高いため、価格は高いにも関わらず、コレクターが多い品種です。
ホマロメナの育て方
日当たりと環境
半日陰を好みます。午前中だけ日が当たる場所や、照明の光が当たる場所などに置いて育てるようにしましょう。日差しの強い季節は、直射日光で葉焼けする可能性があるため、薄手のカーテン越しに光が当たるように調整してください。
生育に適した気温は25℃前後です。寒さには弱いため、冬場は室内の暖かい場所で育てるようにしてください。暖かい室内を好みますが、暖房の風や熱が直接当たるような場所は避けましょう。
水やり
春から秋は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。気温が高い季節は水分が蒸発するため、水切れしないように気を配りましょう。生長期は、空中湿度が高い場所でよく育ちます。霧吹きを使い、こまめな葉水を心がけるようにしてください。冬は水やりの頻度を落とし、やや乾かし気味に管理します。土の表面が乾いてから2~3日空けて水やりを行うようにしましょう。
用土と肥料
水はけの良い土を好みます。市販されている観葉植物用の土を使うのがおすすめです。自作する場合は、赤玉土5:ピートモス3:バーミキュライト2くらいの配合で、水はけを確保するようにしましょう。
肥料は、緩効性肥料か液体肥料を、鉢の大きさに合った分量と頻度で与えます。秋~冬は不要です。
パルダリウムとして育てる場合、アクアリウム用のソイルが型崩れしにくく使いやすいです。土やソイルの代わりに、ミズゴケに植え付けてもよく育ちます。
株分け
生長具合に合わせて、適宜株分けをします。冬場の株分けを避け、春~初夏くらいに施すのがおすすめです。清潔な園芸用のハサミで株を切り分けましょう。葉が2~3枚ずつになるように分け、新しい土に植え付けます。気根が出ている場合は、気根の下で切り落とすと根が張りやすくなります。
まとめ
注目度が高いせいか、店頭にはあまり並ばないホマロメナ。ネット販売や、アクアリウム専門店で見つかることの方が多いかもしれません。珍しい品種も多く、手に入りにくいかもしれませんが、その希少性も含めて注目していきたい観葉植物です。