観葉植物・ミルクブッシュ。葉っぱらしいものが見当たらず、枝だけでつくり出されるシルエットは海のサンゴにも例えられます。空中で不規則な模様を編み上げるミルクブッシュには、印象的なアートオブジェのような存在感があります。
基本情報
植物名 | ミルクブッシュ |
別名 | |
科名 | リュウゼツラン科(キジカクシ科) |
属名 | ドラセナ属(リュウケツジュ属) |
原産地 | 熱帯アフリカ、南アフリカ |
花言葉 | |
誕生花 |
ミルクブッシュの原産は熱帯アフリカ、南アフリカの乾燥地帯。荒れている土地でもよく育つ丈夫さを持つ、ユーフォルビア属の熱帯植物です。ユーフォルビア・ティルカリの名称で流通しています。
枝は細長い多肉質で、枝分かれをしてよく伸びます。ただ、他の観葉植物のように葉が茂りません。とても小さい葉が枝の先に付くのですが、すぐに落ちてしまう性質があるため目立たないのです。
同様に、ミルクブッシュの花もとても小さく控えめです。茎の先に、黄色くてかわいい花をつけます。花言葉は「穏やかな性格」。自生地との環境の違いからか、日本で花を見られる機会は残念ながら少なそうです。
多肉植物の名称でも知られているユーフォルビアですが、同じグループの中には1年草・多年草など、異なった特徴のものを広く含みます。ユーフォルビア属は、約2,000品種の植物の総称です。
名前の由来
ミルクブッシュの枝は、直径5㎜程の細さですが水分が多く、切ると樹液があふれます。その白い樹液がミルクに例えられたことから、ミルクブッシュの名前が付いたといわれています。ブッシュは低木・藪を表します。
ミルクブッシュの呼び名は他にもあります。和名ではアオサンゴ・ミドリサンゴ、他にフィンガーツリー・ペンシルツリーとも呼ばれることも。いずれもミルクブッシュの特徴的な見た目に由来した名前です。
ミルクブッシュの育て方
日当たり
ミルクブッシュは日当たりを好む植物です。窓辺や明るい室内、屋外の日なたでもよく育ちます。真夏だけは直射日光を避け、風通しのいい明るい日陰に移してあげましょう。
たくさん日に当たったかどうかは生長に影響します。よく日に当てることで、枝折れや間延びを防ぐことができ、引きしまった株に生長します。
枝は光のある方に伸びます。ミルクブッシュは葉がない分、枝が乱れると目立ちます。ワンルームなど光が1方向からしか入らない場所で育てる場合は、ときおり鉢の向きを変え、枝の伸びる方向が偏らないように調整してあげるようにしましょう。
水やり
ミルクブッシュは多湿が苦手です。季節問わず、土は乾かし気味で育てましょう。控えるのは、水の量ではなく頻度です。土の表面がしっかりと乾き、さわっても湿り気を感じなくなってから水を与えます。鉢に水がたっぷり行き渡り、底から水が染みだしてくるまでが目安です。次の水やりは、また土が乾くのを待ってからで充分です。受け皿に水がたまっていたら、必ず捨てるようにしましょう。
体内に水分を蓄えておくことが出来るため、水やりを多少飛ばしてしまってもすぐに枯れることはありません。反対に、多すぎる水分は行き場を失って鉢の中を蒸れさせ、根腐れを招きます。水のあげすぎに注意を払い、根腐れを防ぎましょう。
他の観葉植物と異なり、葉水(霧吹きで水を吹きかけてあげること)は不要です。
用土
土は、基本的にどの土でもよく育ちますが、水はけが良い状態が望ましいです。市販品を使う場合は、サボテンや多肉植物の専用土がおすすめです。観葉植物用の土を使う際は、赤玉土や軽石を混ぜると水はけがよくなります。
冬越し
暑さや乾燥には強いですが、寒さにはやや弱いです。生長期にあたる春~秋は屋外でも問題なく育ちますが、残暑が過ぎて肌寒くなる頃には、室内に入れてあげるようにしましょう。
冬越し出来る最低気温は5℃程です。冷気の伝わりやすい窓際より、窓から離れた部屋の内側に置いてあげるのがおすすめです。乾燥気味に育てることで樹液の濃度が高まり、耐寒性をあげることが出来ます。
樹液に注意
伸びすぎてしまった枝は適宜剪定します。どういう形にしていきたいかバランスを見ながら、伸ばしたい方向の枝以外は切り戻しましょう。
ハサミを入れると、枝から白い樹液が出ます。樹液が手に垂れたり、樹液のついた手で身体や目に触れると、痛みや違和感、皮膚のかぶれを引き起こすため、直に触れないように気をつけましょう。
剪定をする際は、手袋とティッシュペーパーがあると便利です。枝を切ったら、他の枝や床・服に垂れないうちにティッシュでこまめに吸い取りましょう。ハサミについた樹液は、乾かないうちにウェットティッシュでふき取ると手入れが楽です。
この白い樹液には、ガソリンに近い成分が含まれています。ミルクブッシュが体内で石油に似た炭化水素をつくる働きを持つためです。ミルクブッシュは、石油の代替エネルギーの抽出を期待されるエネルギー植物のひとつとしても注目されています。
まとめ
ミルクブッシュの独創的な外観は、ひとつとして同じものがありません。また、そこからつくり出されるデザインの続きは、あなただけのものです。空間に模様を描くように、ミルクブッシュを仕立ててみてはいかがでしょうか。