秋を知らせる花・コスモス。季節感のある花材として、フラワーアレンジや、ブーケにも用いられることが多い花です。花言葉や名前の由来、身近で馴染みのあるコスモスの意外な魅力についてまとめてみました。
コスモスの基本情報
コスモスは、「短日植物」と呼ばれ、昼の時間が短くなったことを察知して咲く花のひとつです。原産はメキシコの高原地帯。風通しがよく、乾燥して荒れた土地でもよく育つ丈夫な性質を持っています。
日本に入ってきたのは明治の初め頃。丈夫で強い風にも負けない健気な花は人気を博し、明治後期には全国区で知られるようになったということです。
コスモスの和名は、アキザクラ(秋桜)、オオハルシャギク(大春車菊)です。
「秋桜=コスモス」と呼ばれるようになったのは、昭和を代表する歌手・山口百恵さんの歌が大ヒットしたことがきっかけだったといわれています。
コスモスの語源となった“kosmos”はギリシア語で、「美しい」「宇宙」「秩序」「調和」を表す言葉です。
花のシンメトリーな形や、群生して咲く姿には、「秩序」と「調和」があるとされ、同じ語源と意味を持つ“cosmos:宇宙”と同名で呼ばれるようになったということです。
コスモスの花言葉
コスモスには、花姿に由来した花言葉がいくつもつけられており、色ごとでも意味が分かれています。
全般に共通した花言葉
- 乙女の真心
- 乙女の純潔
- 調和
- 謙虚
- 美麗
糸のように細い葉や、風に揺れる花びらの華奢な美しさに由来して、「乙女」のつく花言葉が生まれたといわれています。また、派手さはなくても、素朴で慎ましい様子で咲くことから「謙虚」、コスモスの花が整然と咲くことから「調和」とつけられたようです。
英語での花言葉
- harmony(調和)
- peace(平和)
- beautiful(美しい)
- modesty(謙虚)
- the joys that love and life can bring(愛や人生がもたらす喜び)
日本語と英語の花言葉では、重複した言葉もあります。いずれも、おだやかに咲く印象から、花言葉がつけられたのかもしれませんね。
色別の花言葉
- 赤 …「乙女の愛情」「調和」
- ピンク …「乙女の純潔」
- 白 …「優美」「美麗」「純潔」
- 黄色 …「野生的な美しさ」「自然美」「幼い恋心」
- 黒 …「恋の終わり」「恋の思い出」「移り変わらぬ気持ち」
全般に共通する花言葉もありますが、色から受ける印象をうたった言葉が多いようです。
黒いコスモスは、主にチョコレートコスモスという種類を指しています。少し物悲しい花言葉がつけられていますが、深い色味はシックで大人っぽく、他のコスモスとは一線を画している品種です。高級感もあるため、女性人気の高いコスモスです。
コスモスの種類
シンプルなピンクや白の一重咲きコスモスがよく知られていますが、現在は華やかに咲く園芸品種が増えてきています。どのような種類があるのでしょうか。
ピコティ
白い花びらに、赤系の縁どりが入ったピコティ。可愛らしい色合わせのツートーンカラーが目を惹くコスモスです。花びらの幅はやや広め。きれいなリボンのような華やかさがあります。
シーシェル
花びらがストローのように筒状になって咲くシーシェル。変わり種のコスモスの代表格です。カラーバリエーションは、定番の白やピンクの他、濃いピンクや紫もあります。
ダブル・クリック
ゴージャスな八重咲き・半八重咲き品種として人気の高いダブル・クリック。ボリューム感があり、花びらで中心の黄色い花芯が隠れるほど。最も花びらの多いものは、ダリアに近い印象の見た目です。
キバナコスモス
名前の通り、黄色い花びらを持つキバナコスモス。一般的なコスモスより、一回り小さい花を咲かせます。「サニーレッド」「サニーオレンジ」「サニーイエロー」など、イエローのトーンも豊富です。
イエローガーデン
クリーム色に近い黄色で、優しい印象のイエローガーデン。キバナコスモスは発色のいいイエローですが、こちらはパステル調。改良品種・イエローキャンパスはより明るく淡い黄色で咲き、どちらも人気です。
チョコレートコスモス
ブラウン系でシックな風合いのチョコレートコスモス。特徴は花色だけでなく、ほのかに香るチョコレートのような甘い香りです。「ビターチョコ」「キャラメルチョコ」「ストロベリーチョコ」など、美味しそうな仲間も豊富です。
コスモスの日を知っていますか?
毎年9月14日は、「コスモスの日」と制定されています。この日は、3月14日のホワイトデーから半年後。コスモスの花を添えてプレゼントを贈り、愛を確認し合う記念日だといわれています。コスモスの日前後は、お花屋さんにもコスモスの花が最も並ぶ時期です。
嬉しい記念日は、いくつあっても嬉しいもの。普段言葉にしにくい思いをコスモスに込めて、贈り物を渡してみてはいかがでしょうか。
まとめ
コスモスは、改良が進み、次々と新しい品種が出てきています。まだあまり知られていない、その花だけにつけられた花言葉というものもあります。
巷にあふれ、増え続ける花言葉。
誰がどんな思いで名付け、どのようにその花言葉が残っていくのでしょうね。