イタリア料理、アジア料理を引き立てるハーブ、バジル。汎用性が高い上、育てやすくて人気のハーブです。家で育てることで、いつでもフレッシュなバジルを使った本格派料理がつくれます。夏料理にもぴったりなバジルを、プランター栽培で育ててみましょう。
基本情報
バジルは、インドを始め熱帯アジア原産のシソ科の植物です。古来、インドでは聖なる植物と位置付けられ、神事に欠かせないものでした。
葉は爽やかで甘い香りを持ち、主に食用に使われるハーブです。イタリアではバジリコと呼ばれ、ジェノヴァ近辺で作られるジェノベーゼソースが有名。トマトとバジルを合わせるイタリアンレシピは、日本でも定番化しています。
バジルには約150もの栽培品種があり、代表的なスイートバジルを始め、ホーリーバジル、ブッシュバジル、レモンバジルがよく知られています。
バジルの持つ効能
薬草としても知られるバジルには、さまざまな効能があります。
- 胃炎や胃酸過多の緩和
- 整腸作用
- 殺菌・抗菌作用
- アレルギー抑制
バジルは、和名をメボウキ(目箒)といいます。
江戸時代に渡来したバジルは、当時漢方薬として使われました。バジルのタネは、水につけるとふやけてゼリー状の物質に包まれます。この成分を活かし、目の汚れを取り去る目薬として使われていたことに由来して和名がつけられたということです。
このゼリー状の正体はグルコマンナン。食物繊維豊富で、ダイエット補助食品にも用いられています。
バジルの育て方
タネから育てる場合
発芽には20℃以上の温度が必要なので、タネまきは4月下旬~5月に行います。
バジルのタネはとても小さいので、5mm程度、ごく浅く土をくぼませてパラパラと蒔きます。蒔いたら、タネが隠れる程度に薄く土をかけます。バジルのタネは光を好むので、土を分厚くかけると発芽しにくくなります。
発芽後、生育のいいものを残して間引きながら育てていきます。間引きしたバジルは、お料理に使いましょう。
苗から育てる場合
バジルの苗は、いきいきとした緑色で、茎がしっかりと太いもの、節が詰まっているものを選びましょう。
1株であれば5号以上の鉢、2~3株植えたいときは細長いプランターがおすすめです。ポットから根を崩さないように取り出し、苗の土表面が浅くかくれるくらいに土をかけて植えつけます。植えた後は、たっぷりと水をあげましょう。
寒さには弱く、葉が黒くなることがあります。4月に植える場合、夜だけ室内に入れてあげると安心です。
日当たりと環境
バジルは、日当たりや風通しのよい場所でよく育ちます。屋内外どちらでも育てることが出来ますが、屋外の方がより美味しい葉に育ちます。室内の場合は明るい窓辺などに置いてあげましょう。
夏の暑さには強く、40℃を超えても元気に生長します。直射日光は葉焼けの原因になるため避けましょう。
土・肥料
ハーブ栽培用の培養土、野菜用の土で育てることが出来ます・
2~3週間に1度、肥料をあげると旺盛に育ちます。置き型の緩効性肥料、液体肥料がおすすめです。
水やり
乾燥には弱いため、水切れを起こさないように注意します。水やりは、気温が低い朝のうちにあげるようにします。真夏は水切れを起こしやすくなるので、土の様子を見ながら、気温が下がる夕方頃に再度水をたっぷり与えましょう。
摘芯(てきしん)
15~20センチくらいに成長したら、先端の芽を取って脇芽を増やします。摘芯をすることで枝葉の数が増えるため、こんもりと葉を茂らせて多く収穫出来ます。草丈が20cm前後に育ったら、下から3~4節を残して上の芽を切り落としましょう。 切り落とした芽は、水に浸けておくと根が出てきます。そのまま水耕栽培で育てることも可能です。
収穫
バジルの収穫は、摘芯と同じ要領で行います。上部の葉を4~5枚まとめて収穫するようにしましょう。
夏以降、バジルは花をつけるようになります。花が咲いてしまうと葉が固くなるため、フレッシュで使用したい場合、収穫はそれまでに済ませると安心です。
株の負担を減らすため、花を見つけたら摘み取りましょう。花も食べることが出来ます。
虫よけ
美味しいバジルには、害虫が寄ってくることがあります。アブラムシ・ヨトウムシ・ハダニなどに注意しましょう。
日常的に、霧吹きで葉の裏にこまめに水をあげたり、込み入った葉を切り取って風通しをよくしたりすることで、虫がつきにくくなります。枯れた葉は見つけ次第取り除いてあげましょう。
木酢液を水で薄めたスプレーを散布する、市販のニーム粒剤を土に蒔くのも効果的です。いずれも自然由来の成分なので人体には無害です。
秋になったら
暑さが落ち着き、気温が下がると生長がとまります。霜に触れると変色するため、収穫出来る葉はすべて摘み取ってしまいましょう。冷凍や乾燥させることで保管が出来ます。量が多ければ、自家製のジェノベーゼソースをつくってみるのもおすすめです。
まとめ
バジルは、一緒に3株ほど育てれば、一般のご家庭の料理をつくるのに充分な量が収穫できます。異なるバジルを揃えて、寄せ植えにしてみるのもいいかもしれません。