植物は、土に根を張ることで生かされ、生長をつづけることが出来ます。今回は、植物を守り、生長をうながす「培養土」について触れていきましょう。
土の果たす役割とは?
そもそも土の役割とはなんでしょうか?
土にしっかり根が張ることで、植物は倒れず体を支えることが出来ます。張りめぐらせた根を使って、栄養分を取り込んだり、呼吸をすることが出来ます。 植物が育つ上で、土は欠かせないものです。
また「土」とひとことで言っても、さまざまな種類があり、性質も異なります。土が持つ特徴は、主に以下のものが挙げられます。
- 通気性……根が呼吸出来る適度な隙間を持っていること
- 保肥性……養分を蓄えておくことが出来ること
- 水はけ……過剰な水分を速やかに排出できること
- 保水性……水分を蓄えておくことが出来ること
- 酸度……土壌の酸性の度合いをあらわすもの
土の種類によって、1~5の特徴が異なります。 市販されている植物用の土は、性質の異なる土があらかじめブレンドされているものが多いです。
培養土とは?
観葉植物や花の育て方を調べていると、「培養土」という言葉がよく出てきます。
培養土とは、育てる対象の植物に合わせて複数の土をブレンドし、性質を調整したものを指します。
また土には、環境づくりのベースとなる「基本用土」と、ベースに足りない性質を補う「改良用土」があります。
- 基本用土:土の50%以上を占める、基礎となる土 例)赤玉土・鹿沼土・日向土・黒土
- 改良用土(補助用土):基本用土に足りない要素を補うための土 例)腐葉土・バーミキュライト・パーライト
培養土は、それらをブレンドしたものの名称です。基本用土+改良用土=「培養土」と呼ばれます。
水はけのいい環境を好むもの、しっとりした環境を好むもの、酸性が強い方がよく育つもの。植物によって育ちやすい環境が異なっているため、育てる植物に合わせたさまざまな培養土が販売されています。
便利な市販の培養土
- 観葉植物用
- 多肉植物用
- 野菜用
- 草花用
- 種まき用
- 挿し木用
市販の培養土は、殺菌処理をされた清潔な土がほとんどです。病害虫が寄り付きにくい上、開封してそのまま使える手軽さがあり、初心者でも使いやすいメリットがあります。
腐葉土とはなにが違う?
名称が似ているためか、まちがえられやすいのが培養土と腐葉土です。
腐葉土は、基本用土に混ぜ込む改良用土のひとつ。落ち葉を微生物や虫が長時間かけて分解し、土上に変化したものになります。腐葉土そのものにはあまり養分がありませんが、有機物を分解してくれる微生物を多く含むため、混ぜて使うことで土壌の環境を整えてくれる効果があります。
培養土は自作できる
原料を揃えて、自作で培養土をつくることが可能です。手間はかかりますが、育てたい植物に合わせて自在にブレンド出来るだけでなく、土からつくって育てることでより植物への理解度が深まります。
自作する際に気をつけたいのが、「ブレンドしてからすぐには使わない」ことです。作ったばかりの培養土は、微生物の成長が不十分です。あらかじめ、使いたい1~2ヵ月前にブレンドして水で湿らせておき、環境を整えてから使うようにしましょう。 目的別のブレンド比率を以下にまとめてみました。
観葉植物の培養土
- 赤玉土(小粒)7:腐葉土3
- 赤玉土(小粒)1:鹿沼土1:バーミキュライト2:軽石(小粒)2:ピートモス2:堆肥2
多肉植物・サボテンの培養土
- 赤玉土(小粒/中粒)3:鹿沼土3:腐葉土4
- 赤玉土(小粒/中粒)3:鹿沼土2:日向土2:腐葉土2:バーミキュライト:1
草花の培養土
- 赤玉土(小粒)6:腐葉土4
- 赤玉土(小粒)5:鹿沼土1:腐葉土2:バーミキュライト2
酸度調整に気を付ける
鹿沼土を多く使う場合、酸度調整に気をつける必要があります。
観葉植物の多くは熱帯原産の植物で、弱酸性の環境で最もよく育つ性質があります。鹿沼土はpH4~5と酸性が強いため、一般的な観葉植物にはやや不向きです。鹿沼土を用いる際は、酸度調整済のものを選ぶと安心です。
植え替えのタイミングで土も変えよう
観葉植物を長く育てていると、根が詰まってくるため植え替えが必要になります。伸びすぎてしまった根を切り戻したり、鉢をひとまわり大きくするだけではなく、使っていた土も新しいものに替えてあげるようにしましょう。
土は消耗品です。長く植物が育ってきたということは、土に含まれる養分もあらかた吸収されつくしています。赤玉土や鹿沼土などは、古くなると粒の形が保てなくなり、つぶれて粉状に崩れます。保水性や通気性の機能が失われるため、そのままだと水はけが悪くなってしまいます。
古い土を再利用する方法もありますが、やや手間がかかります。病原菌やカビ対策の観点からも、新しい土に替えた方が簡単です。
まとめ
培養土の構成や特徴についてご紹介してきました。土の性質は知れば知るほど面白いのですが、植物を育てるために、すべてを詳しく知る必要はもちろんありません。便利な市販の培養土もバリエーションがたくさんありますので、難しいところは任せてしまって、うまく活用していきましょう。