「平和」「知恵」の花言葉を持つオリーブ。スマートで美しい葉は、“銀葉”とも例えられ、シンボルツリーや庭木、観葉植物としても人気の高い樹木です。オリーブを自宅で栽培する際に必要不可欠となる剪定。そのポイントについてご紹介していきます。
オリーブの基本情報
地中海沿岸原産のオリーブは、温暖で乾燥した地域を好みます。代表的な生産地として有名なのはイタリア、国内では小豆島がよく知られています。
オリーブにもさまざまな品種がありますが、いずれも花のあとに実の収穫が出来ます。一般的に、実が小さいものほど、油分の含有率が高くなる特徴があります。ざっくりわけると、実が大きいものはピクルス等の塩漬け向き、小さいものはオイル採取に向いています。
実をつけるための前提条件
オリーブは、1本の木だけでは実がなりません。植物によっては、自分の花粉を受けて実をつくれる「自家受粉」が可能なものはたくさんありますが、オリーブはその性質をほぼ持っていないためです。
自宅で、オリーブの実の採取をしたい場合は、品種の異なる2種類以上のオリーブを育てる必要があります。受粉は風を媒介にできるため、近くに並べて育てるようにするのがおすすめです。
オリーブの開花時期は5日前後。花が咲く時期の近い品種同士を並べることで、受粉の確率をさらに上げることが出来ます。
なぜ剪定が必要なのか?
オリーブは生長が早いうえ、枝が対になって付く性質があるため、葉や枝が混み入りやすい傾向にあります。
枝の剪定によって、得られるメリットはなんでしょうか。
- 風通しの確保
- 病害虫予防
- 大きくなりすぎないよう調整
いずれの植物を育てる上でも、よぶんな枝や葉を間引くことはとても大切です。
オリーブの場合、健康な木を育てる目的だけではありません。枝を剪定することで、枝を若く保つことが出来るため、花がつきやすくなるのです。そのためには、タイミングよく、ちょうどよく、枝にハサミを入れてあげるのがポイントです。
月ごとの剪定のポイント
1~3月(冬眠中)
大きく樹形を整える場合は、生長しない寒い時期をねらいます。生長期になると、枝の切り口がふさがりにくく、木が弱ることがあるため、太い枝はこの時期に切ります。
生長を始める前に木の形を整えておくことで、木の負担を減らしてあげることができるのです。太い枝の切り口には、切り口癒合剤を塗っておくとフタ代わりになり、病原菌が入り込むのを防いでくれます。
3~4月
生長が活発になる季節には、枝のあいだが混み入らないよう、間引くことを目的にハサミを入れます。
枝を切り取る量は、生育旺盛な木で3割程、まだ小さな木は1割程度が目安です。残った枝や葉が触れるか触れないか程度に間引きます。
対になって出ている枝や、下向きに生える枝、交差するようにからむ枝は、いずれか一方を残して根元から切り落としましょう。
5~6月
長く伸びた枝を切り戻す、調整のために枝を切る時期です。ここで枝を切りすぎてしまうと、翌年の花付きが悪くなります。伸びすぎてバランスの悪くなった枝があったら切り戻す程度にとどめるようにしましょう。
オリーブの花は、枝の先端〜中間につきます。枝先を切り詰めても果実がつきますので、花芽のことはあまり気にせずに剪定して大丈夫です。
株の調子が悪いとき
葉が必要以上に巻いたり落ちたり、株元がぐらつく場合、根腐れの可能性があります。植え替えの失敗や、水のあげすぎによって株が弱っている場合には、剪定をして木への負荷を軽くしてあげます。根の処置をして弱った枝や枯れた枝を短く切り戻し、時間をかけて回復を待つようにしましょう。
オリーブの苗木の選び方
苗木の植え付けに向いているのは4~5月頃です。
ゆっくり育てていきたい場合は幼木、早く実を収穫したい場合は大きめの苗を選ぶようにしましょう。幼木の方がコスト的には安いですが、2~3年以上育ったものの方が実をつけやすいです。
選び方のポイント
- 品種の名前がしっかりわかること
- 葉の色が生き生きしているもの
- 株のぐらつきがないもの
- 樹高1m以上
目で見て購入できる場合は上記が参考になります。
ネットで購入する場合には、生産農家さんから買うのがおすすめです。不明点があれば問い合わせてみて、親切に対応してくれるかどうか、様子をうかがうことも出来ます。購入する木の写真を送ってくださるところもあるので安心です。
オリーブの枝の活用方法
剪定で出た枝を、そのまま捨てるのはもったいない。ドライフラワーとしてインテリアに取り入れてみてはいかがでしょうか。実はオリーブの枝は、ドライフラワー用の花材としても人気があります。
旺盛に茂った葉や枝を活かして、麻ひもでまとめてスワッグにしたり、そのまま花瓶にさしたり、リースに加工したりと飾り方にもバリエーションがあり、どれも簡単でおしゃれに仕上がります。
まとめ
自宅にオリーブがあったら、葉を鑑賞する楽しみだけでなく、花や実を待つ楽しみも出来ます。育てやすくて丈夫なオリーブ。細長い葉に混じって、稀にハート型の葉をつけてくれることもあるみたいですよ。ぜひ探してみたいですね。