心をやわらげ、憩いの空間をつくってくれる観葉植物。ご自宅にいるペットも同様に、癒しと活気を与えてくれる大切な存在です。生活空間での観葉植物とペットの共存。特に、草を食べる可能性のあるペットと一緒に生活する場合、気をつけてあげたい点がいくつかあります。
観葉植物の毒性
葉や花を観賞する観葉植物は、置いておくだけであれば、もちろん害はありません。ですが、植物が体内に持っている樹液には、動物にとって有害となるものが多々あります。皮膚がただれたり、アレルギー反応を起こしたり。強いものは命に関わる危険性もはらんでいます。
身体の小さいペットであれば、葉や花を少しかじっただけで大きな影響を及ぼすことも。犬や猫、うさぎ、鳥など、活発に室内を動き回るペットがいる空間では、特に注意が必要です。
切り花も同様です。花を挿しておいた水にも、成分が溶けだしています。フラワーベースが倒れた場合も想定し、置く場所にも気をつけたいところです。
害のある植物
メジャーな観葉植物は、丈夫で虫がつきにくく、育てやすいものが多いです。
なぜ虫がつかないのか。それは、毒性があるという裏付けにつながります。植物は毒を持つことで、かじったら危険だと外敵に知らしめ、生存競争を勝ち抜いてきたという歴史があります。
数ある植物の中でも、特に気をつけたいものをまとめてみました。
観葉植物の他、公園や郊外にある樹木、草木も含めてご紹介します。
注意したい植物カテゴリー
サトイモ科の植物
成分: シュウ酸カルシウム
含まれる部位: 葉・茎・花・樹液
症状: 尿路結石・腎不全の原因・口周りの炎症
主な植物: アンスリウム・ポトス・モンステラ・クワズイモ・カラジウム・スパティフィラム
ナス科の植物
成分: アルカロイド
含まれる部位:全草・種子
症状: 精神錯乱・麻痺・昏睡・失明
主な植物: エンゼルストランペット・チョウセンアサガオ・ペチュニア・ホオズキ・トマト
アヤメ科の植物
成分: イリシジン
部位: 花・葉・球根
症状: 皮膚炎・口唇炎・胃腸炎
主な植物: ジャーマンアイリス・グラジオラス・クロッカス・フリージア
ヒガンバナ科の植物
成分: アルカロイド
部位: 花・葉・球根
症状: 下痢・呼吸不全・中枢神経麻痺・失明
主な植物: ヒガンバナ・アマリリス・スイセン・ネリネ・クンシラン・スノーフレーク・タマネギ・長ネギ
ツツジ科の植物
成分: グラヤノトキシン
部位: 葉・蜜・根・樹皮
症状: 不整脈・血圧低下・中枢神経麻痺
主な植物: セイヨウツツジ・アザレア・シャクナゲ・アセビ
キョウチクトウ科の植物
成分: オレアンドリン(熱に強く、燃やした煙にも含まれる)
部位: 全草・根・落ち葉・周辺の土
症状: 皮膚炎・胃腸障害・麻痺
主な植物: キョウチクトウ・プルメリア・サンパラソル・ニチニチソウ
室内の観葉植物として、たくさんの品種が流通しているサトイモ科の植物。育てやすく人気が高いものばかりですが、ペットと同じ空間で育てる場合には注意が必要です。
また、公園や路地、屋外を散歩する場合にも避けたい植物が多数あります。よく通る場所に何が植えられているのか、知って覚えておくと安心かもしれません。
注意したい植物
オモト(スズラン亜科)
成分: ロデイン・ロデキシン
部位: 根茎
症状: 麻痺・呼吸異常
サボテン(サボテン科) ※一部のもの
成分: アルカロイド
含まれる部位: 樹液
症状: 呼吸不全・痙攣・失明
ドラセナ(スズラン亜科)
成分: サポニン
含まれる部位:葉
症状: 下痢、口の周りの炎症、呼吸困難
アロエ(ツルボラン亜科)
成分: バーバロイン・サポニン・アントラキノン
含まれる部位:表皮、樹液
症状: 下痢・口の周りの炎症・胃炎
シクラメン(サクラソウ科)
成分: シクラミン・サポニン
部位: 地下茎
症状: 下痢・胃腸障害
ポインセチア(トウダイグサ科)
成分: フォルボール
部位: 全株
症状: 下痢、口の周りの炎症
オモトは江戸時代から伝わる古典園芸植物ですが、歴史がある分、中毒症例も多く伝わっています。
サボテンは、トゲによる外傷にも注意です。また、トゲがあるものよりないものの方が、毒性が強い傾向があります。
誤って食べてしまったら
もし、ペットが誤って植物を食べてしまったことに気づいたら、特に異変がなくても、念のためすぐにかかりつけの動物病院へ連れていきましょう。病院で説明出来るよう、食べてしまった植物の種類、どの部分をどれくらい食べたのかを確認しておきます。種類がよく分からない場合は、同じ植物を採取して病院へ持っていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ペットに影響を与える可能性を考えると、植物が怖くなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。ですが、その怖さを覚えておくことで、大切なペットを守ることが出来ると思いませんか。
ここでご紹介したものがすべてではありません。ご自宅にいるペットの習慣や性質について、どんな危険性があるのか、何に気をつければいいのか、改めて考えていただくきっかけになれば幸いです。