アネモネの花言葉

早春を知らせてくれる花、アネモネの花言葉をご紹介。暖かい春の風が吹く頃に花を開くことから、別名「風の花」とも呼ばれるアネモネ。咲く姿に、素朴さと高貴さを兼ね備えている花には、どんな花言葉がつけられているのでしょうか。

目次

アネモネとは

北半球の温帯~亜熱帯に広く分布するアネモネは、球根で育つ多年草の植物。風を受けてのびのび育つ春の花でもあります。パステル調のやわらかい色合いで咲く花が多い中、赤やピンク・紫・青系など、ビビッドカラーで咲くアネモネは、春に咲く花の中でひときわ目を惹く存在です。開花時期は2~5月頃。切り花としても人気のアネモネは、1輪挿すだけでも、その場の空間を明るく元気に飾ってくれます。

鮮やかに色づいた花は、実は花びらではなく、花のガク。そのため、アネモネは「花びらのない花」とも呼ばれています。ですが、あまりに姿が花らしい花であるため、厳密に呼び分けられてはいないようです。

アネモネにまつわるギリシャ神話

ギリシャ神話には、さまざまな花が登場します。アネモネも、縁の深い花のひとつ。花言葉のルーツとなっている逸話がふたつあるのでご紹介します。

三角関係に巻き込まれたアネモネ

春風を運ぶ西風の神・ゼピュロスと、花と春の女神・フローラ夫妻。アネモネは、フローラに仕える侍女・精霊のひとりでした。あるときからゼピュロスは、ひそかにアネモネを想うようになりました。ゼピュロスの浮気心に気づいたフローラは嫉妬にとらわれ、2人を引き離そうとアネモネを神殿から追い出します。ゼピュロスは、フローラとの関係を保つため、未練を持ちながらもアネモネを見捨ててしまいます。神殿を追われたアネモネは、精霊の力も、生きる気力も失い、弱って変わり果ててしまいました。彼女の姿を憐れんだゼピュロスは、罪滅ぼしのため、彼女を美しいアネモネの花に変えたといわれています。

ハプニングが生んだ悲劇

愛と美の女神・アプロディーテと、その息子・キューピッド。2人が楽しく遊んでいたとき、はずみでキューピッドの射た矢が、誤ってアプロディーテの胸に刺さってしまいました。キューピットの持つ愛の矢は、当たると最初に見た人間に恋してしまう力があるもの。アプロディーテは、矢の傷が治る前に、人間の美青年・アドニスに出会い、恋に落ちてしまいます。

アプロディーテの恋人である軍神・マルスは、彼女の心変わりに気づき、アドニスを憎みました。マルスは自身をイノシシの姿に変え、狩りに来たアドニスに襲いかかり殺してしまいます。アドニスの亡骸を見たアプロディーテは涙をこぼします。

アネモネは、アプロディーテがこぼした涙から咲いた花である説と、アドニスが流した血から咲いた説があります。

アネモネにまつわるこれらのギリシャ神話が元になり、花言葉がつけられました。悲しい恋心を連想させる花言葉は、こことつながっているものだとされています。

アネモネの花言葉

全般に共通する花言葉

「純情無垢」「可能性」「無邪気」「はかない恋」「恋の苦しみ」「見捨てられた」「見放された」

アネモネには、明るい花言葉と悲しい花言葉が混在しています。

「純情無垢」「可能性」「無邪気」は、明るい雰囲気をまとったアネモネの花姿に由来した言葉だといわれています。

悲恋にまつわる「はかない恋」「恋の苦しみ」「見捨てられた」「見放された」などの花言葉は、上述したギリシャ神話がベースだといわれています。英語での花言葉も同様で、「anticipation(期待)」「forsaken(見捨てられる、見放される)」という言葉がつけられています。

色別の花言葉

アネモネには、色ごとに花言葉がついています。

由来には諸説ありますが、色から生まれたイメージが大元となっているようです。

  • 赤 …「君を愛す」「根気」
  • 白 …「真実」「期待」「真心」「希望」
  • 紫 …「あなたを信じて待つ」
  • 青 …「固い誓い」
  • ピンク …「待ち望む」

本数別の花言葉

贈る本数によっても、花言葉が分けてつけられています。

本数で思いの強さが変わるバラの花束同様、ストレートな思いを込めた花言葉が並びます。

  • 1~10本 …「明るい未来へ」
  • 11~20本 …「ずっと変わらない想い」
  • 21~50本 …「永遠に共に」
  • 51~99本 …「希望」
  • 100本~ …「忘れられない記憶」

イースター・フラワー

ヨーロッパの一部地域では、アネモネは“キリスト復活の花(Easter flower)”として扱われています。イースターは、毎年4月半ば頃。処刑の3日後に復活したキリストを祝うお祭りです。古代ギリシャ・ローマでは、アネモネに永遠の命を願っていたという逸話も。

「期待」「希望」「真心」「あなたを信じて待つ」などの花言葉は、キリストの復活を祝う思いが込められているという説があります。

まとめ

アネモネの花言葉に悲しい意味合いのものが多いのは、ギリシャ神話の悲哀に深く結びついていたからなんですね。ギリシャ神話では、登場人物が花に変わるシチュエーションが多いようです。

咲いている姿は、健気な美しさを持っている花です。明るい方の花言葉にも注目したいところです。

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