斑入りの葉のメカニズム

観葉植物の中には、「斑(ふ)入り」といわれる特徴を持つ種類があります。斑は、葉に縁取りをつけたり、まだらに模様をつくったりと、植物の見た目を彩り、さまざまな表情を見せてくれるものです。葉に出来る斑、そもそもどのようにしてつくられているのでしょうか。

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斑(ふ)入りとは?

観葉植物の葉はたいてい緑色をしていますが、異なる色が混じるものがあります。この緑色ではない場所を指して「斑」と呼びます。斑の色は、白や黄色が多いですが、植物によっては赤やピンクなど、鮮やかな色が混ざるものもあります。

斑は、葉の中央部分に入ってグラデーションをつくったり、葉の周りをフリルのように縁取ったり、水玉模様のように散ったりと、出方もいろいろです。

斑の入り方が名前になった植物もあります。

【 例 】

・トラノオ(サンスベリア) …斑が横縞に入り、トラの尾のように見えるため

・ソバカスソウ(ヒポエステス) …ソバカス状に斑がちりばめられているため

緑色ではない理由

斑の部分が、緑色をしていないのには理由があります。

葉には通常「葉緑体」と呼ばれる細胞の小さな器官が集まっています。葉が緑色に見えるのは葉緑体がたくさんあるためです。植物は、光合成によって栄養となるデンプンを体内でつくりますが、これは葉緑体の働きによるものです。

理科で、ヨウ素液を使う実験を見たことはありませんでしょうか。デンプンに反応すると、黒紫のヨウ素液は青く反応します。斑入りの葉の場合、緑色の部分だけがヨウ素液に反応し、斑は色が変わらないのです。

斑が緑色でないのは、葉緑体を持たない部分、もしくは著しく少ない部分だからです。

なぜ斑が入るのか?

植物に斑が入る理由について、専門家の研究でもまだわかっていないことが多いようです。ですが、これまでの研究結果により、いくつかの仮説は立てられています。

①遺伝

親から子に性質が遺伝するパターンには法則性がある、とされているのがメンデルの法則です。遺伝の例を挙げると、髪の質が家族代々受け継がれていったり、隔世遺伝で変わったりしますよね。

葉に入る斑も同様です。親株の特徴を引き継いで斑が入るケースです。

②遺伝子の異常

遺伝子の変異や欠損により、葉緑体を構成する仕組みが影響を受け、斑入りが生まれるケースです。なぜ遺伝子に異常が起きるのかは解明されていないということです。

③ウイルスによる影響

植物がウイルスに感染することによって、斑入りが誕生するケースです。本来であれば病気ということなのですが、斑が美しい場合、そのまま斑入りとして扱われることがあります。

斑入りの植物のメカニズムは、まだすべてが明らかになっていません。現在は、固定化してある程度大量に育てられるようになっているため、園芸品種として多く流通しています。ただ、自宅で種まきや葉挿しをして増やそうとすると、斑が出ず、単色の葉になることが多々あります。

斑入りのパイオニアは日本人だった

本来、斑入りの植物は異形であり、元々の美質を受け継がなかったもの。自然界の中では、生き残れず淘汰される側のもの。商品として考えたら、残念ながら売れないものだったはずです。

この概念を覆し、「斑入り=価値が高いもの」と広めた人物がいました。江戸時代の旗本・水野忠暁(みずのただとし)。旗本であり、園芸家でもあった水野は、珍しい植物を収集するだけでなく、品種改良した鉢を販売したり、園芸本の編纂するなど、植物にまつわることをライフワークとしていました。水野が特に好み、注目したのが「オモト(万年青)」だったといわれています。水野は、オモトを含め約3,000もの植物を収集しては繁殖させ、異形であった斑入り植物を、美しく価値の高いものとして認知させるきっかけをつくったということです。

※オモト(万年青)

青々とした細長い葉を茂らせる日本原産の植物です。つややかで美しく、常緑で葉を落とさないことから、長寿を願う縁起物として人気です。花言葉も「長寿」です。

緑色だけのものもありますが、縁取りや筋のように入る斑入りが多く流通しています。葉の形状にも種類があり、大きいもの・小さいもの・くるくると葉が丸くなるもの・ウェーブがかったものなど独特の特徴があります。斑の入り方と掛け合わせて、さまざまな品種がつくられています。

斑入りはなぜ人気なのか

なぜ、斑入りは価値があるとされるのか。単純に、見た目が美しいということもありますが、それだけではないようです。斑入りが発生する確率は低く、何万分の一ともいわれています。斑が入った植物は、葉緑体が少ないため、働きとして不可欠な光合成が苦手。あまり丈夫ではないということです。
【 栽培が難しい → 流通が少ない → 希少 = 価値が高い 】

という図式が成り立ち、斑入りには希少価値があるとされています。

まとめ

斑入りの植物は、斑がないものにくらべてやや弱く、気配りが必要な部分はあります。が、その鉢だけの模様や美しさがあるのも事実です。同じ種類の観葉植物でも、斑の入る面積が異なることもしばしば。斑入りの葉は、単色に比べて涼し気に見えることから、夏に向けて手に取る方が多いようです。

斑入りの観葉植物、面白さや趣があって、とても面白いですよ。

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