のどかな春の野原をイメージさせる『菜の花』。実は、菜の花という特定の植物はないのだといわれています。やわらかい黄色と緑で目を楽しませてくれる菜の花は、いったい何の花なのでしょうか。たくさんの花言葉とともにご紹介します。
菜の花とは?
和名での『菜の花』は、アブラナ科アブラナ属の花の総称だとされています。十字のような形で、黄色い花びらを4枚つけることから、『十字花植物』とも呼ばれます。
ブロッコリー・キャベツ・白菜・カラシナ・ダイコン・ワサビなど、アブラナ科には、私たちになじみのある野菜が名を連ねています。菜の花の「菜」は、食用であることを指しているため、菜の花=食べられる花という意味になります。
英名では「キャノーラ・フラワー(Canola flower)」。これは「Canola=ナタネ(油)」に由来した名前です。
菜の花の中でも、食用として楽しめるものはナバナ(菜花)、観賞用を花菜(ハナナ)と呼び、区別されています。
春に見かける菜の花の種類
寒さがゆるむ頃に、道端や公園で見かけるようになる菜の花。
印象的な黄色で目を楽しませてくれる菜の花の代表種類はこちらです。
アブラナ
原産地は、西アジアから北ヨーロッパ。葉物野菜やナタネ油の原料として、古くから栽培されてきた歴史を持ちます。原種ともいわれ、世界中でアブラナを元に、さまざまな品種がつくられてきました。現在では、「菜の花」といえばセイヨウアブラナが広く認知されています。
セイヨウアブラナ
原産地は、北ヨーロッパからシベリアにかけての海岸地帯。ヨーロッパから入ってきた品種が野生化し、各地に広がったものといわれています。アブラナとキャベツが交配して生まれた品種という説も。食用油の原料として、世界中で栽培されています。
菜の花は、気が付くと毎年同じような場所で咲いているように感じるかもしれません。
早春に茎を伸ばして花をつける菜の花は、5~6月頃に実が熟し、黒いタネが出来ます。散ったタネから芽生えた菜の花は冬を越し、また春に花をつけるのです。
菜の花は、とても耐寒性が強いため、冬の間も枯れることなく育つことが出来る丈夫さを持ちます。開花の最盛期は2~3月頃。花色は黄色の他には、オレンジ・白・紫などが咲きます。
菜の花の花言葉
「快活」
あおくさいような春の香りで鼻をくすぐる菜の花。その香りや、明るい色にちなんだ花言葉だといわれています。また、菜の花は食用としていろいろな料理に活用されてテーブルを彩ります。食べた人たちを元気にしてくれることに由来するという説もあります。
「小さな幸せ」
菜の花は、ひとつひとつの小さな花が、かわいらしく寄り集まって咲きます。その花姿から生まれた花言葉だといわれます。また、身近で親しみのある花でもあることから、“ささやかな幸せは近くにある”という解釈もされているようです。
「明るさ」
黄色=太陽に例えられることもあり、太陽のような明るさを持つ花色から喚起してつけられた言葉だとされています。いちめん黄色く染まった菜の花の風景には、たしかに見る人の心を明るくさせる力がありますね。
「競争」
菜の花は背の高い植物です。群生して育つ姿が、お互いの背丈を競い合っているようにも見えることから、「競争」という花言葉がつけられたようです。
「財産」
黄色は、風水上では金運を表す色だといわれています。黄色い菜の花が広がった風景が、黄金色の財宝がたくさんあるように見えることから、この花言葉がつけられたといいます。
アブラナ科の花言葉
白い菜の花:「潔白」「純白」「適応力」
白い菜の花は、ダイコンの花です。「潔白」「純白」は、ダイコンの持つ色の白さが由来です。
「適応力」は、さまざまな料理に使うことが出来るダイコンの利便性にちなんだ言葉だとされています。
ダイコンの持つ白さ同様、真っ白で小さな花をたくさん咲かせる白い菜の花には、華奢で可憐な印象があります。
紫の菜の花:「優秀」「聡明」「知恵の泉」
紫色の菜の花は、「ムラサキハナナ(紫花菜)」と呼ばれている、中国産のアブラナ科の植物がつける花です。別名は「ショカツサイ(諸葛菜)」。三国志で知られている諸葛孔明にちなんだ名前です。これは、彼が戦場である土地に、食料として植えたことに由来するといわれています。
また、二度と戦争を繰り返さないという決意と願いを込めて、「平和の花」「ピースフラワー」という別名で呼ばれている花でもあります。菜の花同様、十字形の花びらをつける花ですが、紫色の菜の花には、大人っぽく落ち着いた雰囲気があります。
まとめ
季節になると、フラワーショップでも見かける菜の花。春のアレンジに混ざっていると、いかにも旬らしく素敵な仕上がりになります。
菜の花は、切り花として水に生けておくと、水を吸い上げて少しずつ背丈が伸びることもあるそうです。花持ちは3~4日程度ですが、つぼみがあれば次々に花が開きます。菜の花を飾ったときは、その成長にも注目してみてください。