華やかな咲き姿で初夏を演出してくれるジャーマンアイリス。日本の原風景になじみの深いアヤメの仲間ですが、ジャーマンアイリスの華やかな雰囲気は、和風より洋風の風景によく合います。
レインボーフラワーともうたわれる鮮やかなカラーバリエーションを持つジャーマンアイリス。その花言葉についてまとめてみました。
ジャーマンアイリスとは?
アヤメ科アヤメ属に分類されるジャーマンアイリス。原産地はヨーロッパ・アメリカです。ドイツ産の原種を元に交配してつくられた園芸品種のため、ジャーマンアイリスという名前がつけられました。
アイリス(Iris)は、ギリシャ語で『イリス(iris=虹)』を意味する言葉です。イリスは、ギリシャ神話に登場する虹の女神。神々の使者として、虹で天界と地上をつないで往来したと伝えられています。
ジャーマンアイリスの和名は、「ドイツアヤメ」です。また、すみれによく似たかぐわしさがあることから、「匂いアイリス」とも呼ばれています。
『レインボーフラワー』の所以
ジャーマンアイリスは、彩りや咲き姿が豊富なことから、「虹の花」「レインボーフラワー」ともいわれています。
アヤメといえば、青紫色がよく知られていますが、ジャーマンアイリスは、ピンクや白、黄色、オレンジなど、豊富な花色が揃っています。
花が持つ6枚の花びらのうち、3枚が上向きに、残り3枚が下向きに広がる基本は同じですが、花びらの色の組み合わせに特徴があるものも多く、さまざまな咲き姿で楽しめるところも魅力です。
<咲き姿のバリエーション>
- セルフ …上と下の花びらが同色
- バイトーン …上下の花びらが同系色で、下の方がより濃色
- バイカラー …上下の花びらの色が異なっている
- アモエナ …バイカラーのうち、上側が白、下側が別の色
- バリエガタ …バイカラーのうち上側が黄色、下側が別の色
- ブリカータ …花びらの縁だけ濃色
- ブレンド …花びらの中に、異なった色が混ざっている
ジャーマンアイリスの花言葉
アイリス全般の花言葉
「希望」「信じる心」「メッセージ(恋のメッセージ)」「吉報」「良き便り」「知恵」
アイリスとは、アヤメ科の植物の総称を指します。ジャーマンアイリスを始め、ダッチアイリス、ハナショウブ(花菖蒲)、カキツバタ(杜若)も同じ仲間です。
アイリスとジャーマンアイリスの花言葉は、やや混じりあって伝えられているようです。
ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)の花言葉
「燃える思い」「情熱」「吉報」「希望」「メッセージ」「エキゾチックな人」
「炎・焔」「豊満」「あなたを大切にします」「やわらかな知性」
属名でもある、ギリシャ神話の女神・イリスの逸話に由来した言葉が多くつけられています。
イリスが虹の女神となったきっかけは、神々の王・ゼウスでした。恋のエピソードが絶えないゼウスは、侍女イリスにも度重なる求愛をしていました。困ったイリスは、ゼウスの妻・ヘラに、自分をどこか遠くへやってほしいと願い出ます。ヘラは願いを聞き入れ、神々の使いを果たす女神役をイリスに託すことにしました。ヘラは、イリスに首飾りをかけ、神の酒をふりかけて女神へと変身させました。そのときに天界からこぼれたお酒が地上へと落ち、アイリスの花に変わったと伝えられています。
イリスの司る虹は、天界と地上とをつなぐ架け橋とされ、伝令や橋渡しの役割を担ったことから、“思いを伝える・届ける”意味の花言葉が多くついているということです。
ジャーマンアイリスの開花時期は4~5月頃です。
色別の花言葉
ジャーマンアイリスには、色別の花言葉もつけられています。ただ、ジャーマンアイリスだけでなく、アイリス全般に重なる意味合いの言葉も多くあります。
いずれも、花色の持つイメージにちなんだ花言葉のようです。
・ピンク …「恋のメッセージ」
・青 …「大きな志」「誠実」
・紫 …「雄弁」「知恵」
・白 …「純粋」「思いやり」
・オレンジ …「友情」
・黄 …「復讐」
アヤメ科の花言葉
アヤメ科の花言葉
開花時期:4~5月頃
カラーバリエーション:青紫、白
アヤメの仲間の中で、開花が一番乗りに早いことからその名がついたイチハツ。外側の花びらの中央部分に、鶏のトサカのような突起があるのが特徴です。イチハツには、魔除けと補強を兼ねて、茅葺き屋根の上に植えられる風習がありました。英名は“ルーフアイリス(Roof iris=屋根のアヤメ)」”です。
ダッチアイリス(オランダアヤメ) …「和解」「私はあなたにすべてを賭ける」「使命」
開花時期:4~5月頃
カラーバリエーション:紫、青、黄、白など
オランダで改良された球根の品種です。ジャーマンアイリス同様、元になったアイリスが名前になっている花です。
ハナショウブ(花菖蒲) …「優雅」「優しい心」「うれしい知らせ」
開花時期:6月頃
カラーバリエーション:紫、青、白、ピンク、黄
江戸時代から親しまれる日本独自の品種、ハナショウブ。色彩の豊かさが特徴で、江戸時代の頃から品種改良が進んだことで、様々な色合いの花が楽しめるようになったといわれています。
カキツバタ(杜若/燕子花) …「幸せは必ず来る」
開花時期:5~6月頃
カラーバリエーション:青紫、紫、白
湿地帯や水辺など、湿った土地を好んで咲くカキツバタ。日本らしい水辺の風景に欠かせない花でもあります。青い色の花びらの中央に、白い斑が入り、見た目にも凛として涼し気な印象です。
まとめ
球根植物としても知られるジャーマンアイリスは、丈夫で育てやすい性質があり、ガーデニングや鉢植えとしても人気があります。ひとつひとつの花が大きく、存在感があるため、異なったカラーを並べて植えると見応えがあります。きれいな花が咲いたら、それこそ「吉報」。いいことがありそうな予感まで味わえそうです。