土の表面を覆うことを指すマルチング。一般的に、農作物を育てる畑などに施すものですが、マルチングは室内で育てる観葉植物にも効果を発揮します。マルチングの種類やメリット、デメリットとその対策についてご紹介します。
マルチングとは
一般的に、野菜・果物・花などを育てるときに、土の表面を園芸用素材で覆うことを指します。畝(うね)を覆うように、黒やシルバーのビニールをかけた畑がイメージしやすいかもしれません。マルチングには、ビニール素材の他、木材や小石、ワラなど、いろんな種類があります。
マルチングを施すことで、土の環境を良好に保ち、植物の成長を促すことができます。また、畝が崩れたり、害虫がついたりするのも防ぐことが出来るため、育てている間の手間を減らしてくれる効果があるのです。
マルチングは、農作物だけでなく、室内用の観葉植物にも有効だとされ、専用素材も多く出回っています。
マルチングのメリット
土はね予防
水やりをした際、土が跳ね返って置き場所が汚れることがあります。また稀に、跳ねた土が原因で、株が弱らせることもあります。土中に病原菌がいた場合、茎や葉につくことで病気を引き起こすことがあるのです。マルチングをすることで、土が跳ねにくくなり、病気も防ぐことができます。
防虫効果
適度な室温の中で育てられ、充分な湿度を保った観葉植物は、管理次第では害虫が好む環境になります。マルチングによって土を隠すことで、虫が寄り付くのを防ぎ、土中に卵を産みつけにくくさせることができます。
温度変化を抑える
季節や気候によって、土の温度は変化します。特に効果的なのは冬場です。マルチングを施すことで保温効果が高まり、急激な冷え込みから植物を守る効果が期待出来ます。
乾燥を防ぐ
高めの湿度を好む観葉植物におすすめです。マルチング材によって、水分の蒸発を防ぐことができるので、土中の湿度を一定に保つことができるメリットがあります。
インテリア性
マルチング素材で土を覆い、見えなくさせることで、清潔感が増し、生活感も抑えることが出来ます。選ぶ素材によって印象を変えられるため、雰囲気を変えたいときにおすすめです。
マルチングのデメリットと対策
通気性
土を保温・保湿するマルチングは、それがデメリットに発展することがあります。マルチングが原因でカビや病気が発生し、根腐れを招くケースがあります。マルチングを施した鉢は、風通しのいい場所に置き、通気性の良さを心がけましょう。マルチング後に株が弱るようであれば、一度取り除いて様子を見るようにしてください。
水やり
土が隠れることで、水やりのタイミングがわかりにくくなります。土の乾き具合を確認するため、水やり前にマルチング素材をずらし、土の状態を確認するようにしましょう。乾燥を好む植物の場合、直接土に触れ、湿り気を感じなくなってから水やりをしましょう。マルチングで見えにくくても、適切な水やりのタイミングをはかることができます。
交換
自然素材のマルチング材は消耗品扱いです。くりかえされる水やりによって、崩れたりカビが生えたりすることもあります。もし劣化したと感じたら、なるべく早く新しいものに交換するようにしましょう。
観葉植物用のマルチング素材
バークチップ
園芸用のマルチング素材の定番ともいわれるバークチップ。インテリアバークとも呼ばれます。マツの樹皮を乾燥させ、チップ状に砕いたものです。チップのひとつひとつが大きく、赤みがあります。木の素材感が強いため、あたたかみを感じられる素材です。
ウッドチップ
ヒノキや杉などの木材を砕いたもの。木を丸ごと使っているため、白っぽい色をしています。種類によって、香りが異なるのも特徴です。バークチップよりも細かくくだかれています。ナチュラルな雰囲気を出したいときにぴったりです。
ココヤシファイバー
ヤシの実の繊維からつくられたココヤシファイバー。薄いブラウン系で、糸状の繊維がふんわりと株元を隠します。空気を含みやすい素材のため、通気性はばつぐんです。やわらかく上品な雰囲気を出せるうえ、無造作に覆うだけでおしゃれに仕上がります。
玉石(化粧石)
丸みのある玉石は、マルチングに使うことでモダンな雰囲気を演出できます。和風のアレンジや多肉植物にもよく合います。木材と比べると、保温性・保湿性が高くなります。重さが出るため、持ち運びの際には気をつけるようにしましょう。
クルミの殻
ごろっとしたクルミの素材感を活かしたマルチング素材です。半分に割ったクルミの殻は、表側と内側で形が異なるため、適度な通気性を保つことができます。
まとめ
素材によって、得意分野が異なるマルチング素材。上手に選んで、ご自宅の鉢植えと合わせてみましょう。必ず必要なものではありませんが、あることで大きく雰囲気を変えられる面白さがあります。模様替えや季節に合わせて、素材で遊んでみるのもいいかもしれません。