提灯を思わせるふっくらとした赤い実をつけるホオズキ。古くから夏の風物詩として親しまれ、初夏になると日本各地でホオズキ市が開催されます。ホオズキは、鑑賞用・食用と品種がわかれています。今回は、よく出回っている観賞用ホオズキの育て方についてまとめてみました。
基本情報
ホオズキは、ナス科ホオズキ属に分類される多年草です。原産地は東アジア。開花時期は初夏、6~7月に淡いクリーム色の花をつけます。実にくらべると、とても控えめですがきれいな花です。受粉した後は、果実とともにガクが大きく生長します。ガクが果実を包み込んで袋状にふくらみ、ホオズキらしい風船のようなかたちに育っていきます。ふくらんだばかりのガクは緑色をしていますが、8月頃から徐々に赤く色づきます。ガクの鑑賞は8~9月が最盛期です。
ホオズキは、お盆の飾りにも用いられます。ともした提灯に見立てた赤い実は、ご先祖様が迷わずに帰ってこられる道しるべとなるのだそうです。ご先祖様は、お盆のあいだはホオズキの袋状の空間の中に身を宿すともいわれています。
提灯が吊り下がったようなユニークな姿から、海外では「チャイニーズ・ランタン(Chinese lantern)とも呼ばれています。
ホオズキの育て方
日当たりと環境
通年、日当たりと風通しの良い場所でよく育ちます。真夏のあいだは、強い日差しが長く当たる場所は避け、明るい半日陰(午前中は日が差し、午後は日陰になるところ)に置いてあげましょう。
冬になると地上部の葉や茎は枯れますが、地下茎の状態で冬越しをする植物です。冬場の防寒対策は特に必要ありません。春になったらまた新芽が芽吹いてくる丈夫な植物です。
植え付け
苗がもっとも出回る時期は、4~5月頃です。植え付けの適期は4月前後のため、購入後は早めに植え付けると、夏には果実が鑑賞できます。植え付けは、鉢植えであれば6号以上の鉢に1株、地植えであれば20cm前後間隔を空けて植えるようにしましょう。
ホオズキは乾燥にやや弱いため、水はけと水持ちのいい土に植えるようにしましょう。市販の草花用培養土でよく育ちます。あらかじめ肥料が配合されているため、元肥がいらず簡単です。自作する場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3くらいが目安です。植え付け後は、置き型の緩効性肥料か、液体肥料を適宜与えるようにしてください。あげすぎると実がつきにくくなることもあるため、容量を守って与えるようにしましょう。
水やり
土の表面が乾いてきたら、たっぷり水を与えましょう。水切れにはやや弱い傾向があります。夏から秋は、花が咲き、実をつける大事な準備期間となります。夏場は高温によって水分が蒸発しやすいため、土の様子を見ながら、水やりを欠かさないようにしましょう。水やりのタイミングは、日中を避け、朝か夕方に行うようにしてください。結実前後の水切れは、実が落ちやすくなるため注意が必要です。
支柱立て
草丈は、大きいものだと100cm前後まで育ちます。背が高くなりやすいため、適宜支柱を立てて倒れないように固定しましょう。
病気・害虫対策
ホオズキは、アブラムシやカメムシがつきやすくなります。特に新芽に発生しやすいため、防虫用のスプレーなどをまんべんなく噴霧して、予防しておきましょう。害虫がつくと駆除に手間がかかるため、苗を育て始める際に予防策を取っておくのが安心です。
また、湿度が高い時期に気をつけたいのが白絹病です。株元が白い糸状のもので覆われ、株を弱らせる病気です。湿度の高い時期は、下葉を刈り込んで風通しをよくしておきましょう。
摘芯
ホオズキは、生長期に脇芽をよく出します。脇芽ばかりが伸びると、実に回る養分が少なくなってしまうため、摘芯(芽の先端を摘み取ること)をして生長のコントロールをしてあげましょう。バランスを見ながら、こまめに摘芯をしてあげるのがおすすめです。
花が咲いた後、実がついた茎の先端を落とすのも、バランスよく育てるのに効果的です。ついた実の数が少なければ、施さなくても問題ありません。
連作障害
ホオズキも分類されるナス科は、連鎖障害が起きやすい植物です。同じ科の植物を同じ環境で作り続けると土の状態が悪くなり、生育の妨げになる障害です。植え替えの際は、元の土は使わず、新しいものに替えるようにしましょう。
植え替えと株分け
長く育てていると地下茎が増えていきます。鉢植えは毎年、地植えでも2~3年に一度、新しい土に植え替えをしてあげましょう。地下茎は、大きな芽がひとつつくようにして、20m程の長さに切って株分けしましょう。タネまきでも増やせますが、実がつく株になるまで2年程かかるため、ゆっくり育てたい方におすすめの増やし方です。
まとめ
ホオズキの実は、晩夏や秋をあらわすアレンジメントの花材としても人気です。実がついたら、茎ごと切って飾ると、季節感を演出するインテリアアイテムになってくれます。
熟したホオズキのガクは、数日水につけておくと葉脈だけが網状に残ります。繊細なレース細工のような葉脈の奥に赤い実が透けて、素敵な飾りに仕上がります。応用編として、ぜひお試しください。