蒸し暑く、湿気の多い夏は、観葉植物にとって悩みの多い季節です。特に悩ましいのが、どこからか湧いてくるコバエ。発生する原因さえわかれば、予防も対処も出来ます。しっかり対策を取って、観葉植物をコバエから守りましょう。
コバエとは?
「コバエ」は、文字通り小さなハエの総称です。観葉植物に発生するコバエは、おもに「キノコバエ」と「チョウバエ」の2種類になります。
飛んでいる成虫は目に見えるため、まだ駆除しやすいのですが、卵や幼虫を目視で探すことは困難です。観葉植物の周りにコバエが数匹飛んでいた場合、土や受け皿に卵を産みつけていることが多いと考えましょう。
キノコバエ類
観葉植物に使われている有機用土(腐葉土・有機培養土)と有機肥料を餌にして繁殖します。体長は1~2mm程ととても小さいのが特徴。観葉植物の土の中に卵を産み付けます。湿った土を好み、一度ついてしまうと一気に増えます。
チョウバエ類
水回りから発生するのがチョウバエです。体長は1~5mm程で、トイレやお風呂場、排水溝などの水回りで発生します。水アカや汚れた水を好み、水が溜まっている場所に卵を産みます。チョウバエは、観葉植物の受け皿に水が溜まっていると卵を産み、繁殖します。
キノコバエとチョウバエでは、発生する場所と好む環境が異なるため、それぞれ対策を取る必要があります。
コバエが発生しやすい環境
- 土の通気性が悪い
- 有機用土と有機肥料を使用している
- 受け皿に水が溜まっている
コバエが好む環境をなくしていくことが、予防と再発防止につながります。
コバエ予防策
ひとたびコバエが出たら一苦労です。まずは、コバエが湧いてしまわないよう、予防をしていきましょう。
土の通気性確保
こまめに水をやりすぎていると、土が常に湿った状態になります。観葉植物への水やりは、しっかりと土が乾くまでインターバルをあけ、「乾」「湿」のメリハリをつけるようにしましょう。
水をあげる前に、土が乾いているか、指で触って確かめます。あげるときは鉢全体に行きわたるようにたっぷりあげましょう。
受け皿に水がたまったままになっていると、余分な湿気の逃げ場がなくなり、鉢が蒸れる原因になります。たまった受け皿の水は、こまめに捨てるようにしましょう。大きな鉢で受け皿を動かせない場合は、雑巾やスポンジなどで吸い取ってあげるのでもOKです。
無機質の用土を使う
キノコバエは、土の表面2~3cmの深さに卵を産みます。鉢土の表面5cm程を無機質の用土に入れ替えると、餌がなくなるため繁殖しにくくなります。
無機質の用土 …赤玉土・鹿沼土・バーミキュライトなど
予防剤を散布
コバエがつきにくいよう、観葉植物にコバエ予防の薬剤をまいておくのがおすすめです。園芸用で使える、スプレータイプの市販薬が複数出ているため、手元に1本置いておくと安心です。市販のスプレーは、1ヵ月前後効果が持続します。
薬剤を使いたくない場合は、木酢液を希釈したものを観葉植物に吹きかけてあげましょう。燻製に似た、独特の強い香りがしますが、コバエはこの匂いを嫌います。コバエだけでなく、ゴキブリやムカデなど、多くの害虫を遠ざける効果もあります。
木酢液を使う場合は匂いがこもらないよう、屋外で使用するのがおすすめです。
木酢液の使い方
スプレー容器に木酢液を入れ、水で希釈する(200~500倍)
観葉植物に霧吹きで散布(毎日~3日に1度程度)
コバエの駆除方法
予防していても防ぎきれず、コバエが出てしまうこともあります。コバエが湧いたら、駆除していきましょう。
薬剤を使う
市販の殺虫剤や誘引剤を使って、コバエを駆除します。置き型、スプレータイプ、粘着テープ型などがありますので、使いやすそうなものを選びましょう。複数使いも時短になります。
鉢ごと水に浸ける
なるべく薬剤は使いたくないという方におすすめです。①の場合でも、②との合わせ技にした方が確実です。
まず、対象の植木鉢と、それが入るくらいの大きさのバケツを用意します。
バケツに水を張り、観葉植物の植木鉢を15分沈めます。土の表面までしっかり浸るくらいの水量になるよう調整しましょう。
水に長く浸けることで、土表面のコバエの卵や幼虫が窒息して浮かんできます。目視ではわかりにくいため、水面に浮いた土ごと網ですくって取り除きましょう。
植え替え
最終手段ですが、コバエが発生した植木鉢は、一旦植え替えてしまうのも手です。大きなゴミ袋の中で、コバエが飛ばないように気をつけながら、鉢の土をすべて捨てましょう。株についている土もなるべく払って落とします。心配であれば、株は水を張ったバケツにしばらく浸けてから、新しい土に植え付けてあげましょう。
まとめ
コバエがつかない環境づくりをすることは、カビや病気、キノコの発生を抑える効果もあります。トラブルの起きやすい夏場は、水回りを清潔に保つことも大きな予防策です。
しっかりと対策を打って、大切な観葉植物を守っていきましょう。