冬の風物詩・ゆず(柚子)の育て方

冬至が近づくと、目にする機会も多くなるゆず。寒い冬景色の中で、ぽっかりと黄色い実をつけるゆずは、なんだかあたたかい気持ちにさせてくれます。柑橘系の樹木は、地植えでなくても育てることが出来ます。鉢植えだからこそ得られるメリットもたくさんあるんですよ。

目次

ゆず(柚子)の基本情報

ゆずは、ミカン科ミカン属に分類される常緑半高木です。原産地は中国。日本には奈良時代前後に朝鮮半島経由で伝わったといわれています。寒さに強い性質があり、青森など、東北の寒冷地でもよく育ちます。

ゆずは、和食とも深いかかわりがあります。夏に出回る青ゆずは柚子こしょうに、秋から出回る黄色いゆずは汁物や添え物、果汁はお料理に使われます。

開花時期は5~6月頃、実の収穫は9~12月頃です。柑橘系特有の白く可憐な花を咲かせます。花言葉は「健康美」。きれいな花を咲かせ、しっかりと結実することに由来した言葉だといわれています。

香酸かんきつ類のひとつ

ゆずは、実を食べるのではなく、果汁や香りを楽しむ「香酸かんきつ類」のひとつです。香酸かんきつ類には、カボスやスダチ、レモン、ライム、シークワーサーなどが含まれます。酸味や香りでお料理にアクセントを加えるこれらは、私たちにもなじみのある食材です。

低カロリーで栄養価の高い香酸かんきつ類は、健康増進や美容にも効果的といわれ、調味料やジュースにも多く加工されています。

鉢植え管理はメリット多め

ゆずは、樹勢が強いため、本来は2m近くまで生長します。鉢植えで育てることで生長速度が抑えられるため、好みの背丈を保ちながら、コンパクトに仕立てることが出来ます。養分が行き渡りやすくなるので、実付きがよくなるメリットも。鉢植えで育てる場合、地植えで育てるよりも数年早く結実するといわれています。寒さに強いため、ベランダでの冬越しも可能です。

ゆずの育て方

栽培に適した環境

日当たりの良い場所を好みます。実付きの良さに直結するため、よく日に当たる場所で育てるようにしましょう。耐寒性に優れているため、-7℃までは屋外で育てることが出来ます。ベランダで育てる場合、エアコンの室外機からの風が当たらない場所に置くようにしましょう。

ゆずは自家結実性のため、他の木から受粉しなくても実がつきます。

苗木選びのポイント

幹がしっかりと太く、枝の節が詰まっているもの、葉が多いものを選びましょう。ゆずは、接ぎ木苗が多く販売されています。接いである部分に隙間や傷がないかどうかもチェックします。実付き苗の場合、はじめからたくさんの実がついているものより、実が少なめのものの方が体力を温存しています。

ゆずにはトゲがありますが、近年はトゲなしの品種も出回っています。扱いやすいのはトゲなしですが、苗は好みで選ぶのがおすすめです。購入後に植え替える場合は、2~4月頃に行うようにしましょう。

水やり

土の表面が乾いてから、たっぷりとあげるようにします。水をたくさん吸収することで美味しい実が出来るので、花の時期、実がつく時期は特に水切れしないように気をつけましょう。あげた水がしっかり乾き、土に触れても湿り気を感じなくなったら、次の水やりのタイミングです。

収穫が近づいたら、水やりの頻度を控えてみましょう。乾かし気味に育てると、実の味がひきしまります。

用土と肥料

土は、水はけと水持ちのバランスの良い土が理想です。市販の果樹用培養土を使うと安心です。配合する場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜて使いましょう。

年3回を目安に、肥料を与えます。液体肥料か有機質肥料を、3月・6月・10月頃にあげるようにしましょう。

剪定

枝が混み入ってきたら、適宜剪定をしましょう。枝を切るのに適しているのは4月前後です。特に支障がなければ、無理にハサミを入れなくても大丈夫です。枝にトゲがあるため、扱うときには気をつけて触れるようにしましょう。

実の収穫

10~12月頃が収穫時です。実が黄色く色づき、緑色が少し残った状態で収穫します。実をつけたままにしておくと、翌年以降の実付きに影響が出るため、ついた実はすべて収穫しましょう。

冬至のゆず湯

ゆず湯は、江戸時代の銭湯から流行り始めた風習です。冬至の日にゆず湯に入ると、風邪を引かずに冬を越せるといわれています。

実を丸ごと湯舟に浮かべるイメージがありますが、ゆずの実を細かく刻んで布の袋に入れるのがおすすめです。浮かべることで香りの癒し効果が強まるだけでなく、ゆず入り袋でからだをこすると、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果がねらえます。

あたたかいゆず湯は冷え性緩和や、風邪予防にも効果的。実が収穫出来たら試したい、贅沢な入浴方法です。

まとめ

ゆずは種類も多く、実の大きいものや小ぶりの実がつくもの、トゲのないものなど様々です。上手く育てられるか心配な方は、小さいものより値は張りますが、ある程度生長した3年生以上の苗木だと安心です。実付き苗だと、どのくらいの大きさの実がなるのか更にわかりやすいですね。

ゆずは、花の香りも良いことが特徴です。上手に育てて、花をたくさん咲かせてみましょう。

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