春先は、ガーデニング用の苗だけでなく、野菜の苗も多く出回る時期です。プランター栽培で、家庭菜園に挑戦してみてはいかがでしょう。自宅で簡単に育てられる野菜は、実はとてもたくさんあるんです。育てやすく、収穫の喜びも味わえる、夏野菜・ナスの育て方のご紹介です。
基本情報
食材として、私たちになじみの深いナスは、インドが原産の植物です。日本には、奈良時代に伝わったとされ、古くから親しまれてきた歴史を持ちます。在来品種は日本各地に散らばっており、地域特産の伝統野菜として、現在も育てられています。
ナスは、ナスビとも呼ばれますが、この呼び名には諸説あります。夏に果実ができることから「夏実」、夏野菜の代表格であることから「夏味」、果実にえぐみがある特徴から「中酸実」、それぞれの発音が転じて『ナスビ』となったと解釈されているようです。
育てやすく、「花が咲けば実になる」といわれるほど結実しやすいことから、家庭菜園でもよく取り入れられるナス。庭や畑を持たなくても、プランターを使った省スペース栽培で、収穫を充分に楽しむことが出来る手軽さと魅力があります。
ナスの開花時期は、6~10月頃。花言葉は、「優美」「よい語らい」「希望」「真実」「つつましい幸福」です。淡い紫色で下向きにつく花や、実付きのよさにちなんでつけられた花言葉だといわれています。
ナスの育て方
日当たりと環境
気温が高く、日当たりの良い場所でよく育ちます。苗は大きくなると横に葉を大きく広げるようになります。葉同士が重なって、蒸れ過ぎてしまわないよう、あらかじめ株間をあけて育てるようにしましょう。生育に適した気温は25℃前後です。
苗の選び方
ナスはタネから育てることが出来ますが、やや玄人向きです。ある程度育った苗を購入した方が安心です。苗を選ぶときは、葉や茎の様子をよく見て選ぶようにしましょう。
- 葉が大きく、厚みがあるもの
- 葉に傷や変色がないもの
- 葉色が濃いもの
- 茎が太く安定感があるもの
- 本葉が多く、つぼみがあるもの
植え付けと用土
4~5月頃、気候が安定して暖かくなった時期に植え付けるようにしましょう。プランター栽培をする際は、直径30cmほどの大きさが必要です。複数の株をひと鉢で育てたい場合は、深さのある野菜用の大型プランターがあると安心です。
用土は、市販の野菜用培養土を使いましょう。手間がかからず、栄養分もあらかじめ考えて配合されているので、とても便利です。プランターの底には鉢底石を入れておき、通気性を確保しておきます。
苗は、あらかじめ黒いビニールポットごとたっぷりと水を含ませてから取り出し、植え付けましょう。
肥料
肥料をこまめにやることで、艶やかで美味しい実がつきます。
一番目の花に実がなり始めたら、追肥をしましょう。ナスは肥料切れを起こしやすい野菜のため、追肥をすることで美味しい実を継続して育てることが出来ます。固形タイプの肥料であれば2週間に1回程度、液体肥料であれば10日に1回程度が目安です。
肥料は、根元に直接まくと根を傷めてしまう可能性があります。製品の説明書きに従って、適量を守って施すようにしましょう。
支柱立て
ナスは生長すると背が高くなります。まっすぐに生長できるよう、支柱を立てて固定し、生長しやすい方向へ誘引するのがおすすめです。風にあおられて倒れてしまう心配が少なくなるので、可能であれば立ててあげた方が安心です。支柱は100円ショップの園芸コーナーでも購入することが出来ます。
苗の根元から10cm程離れた場所に支柱を挿します。プランターであれば、両サイドに2本、縦に挿しましょう。もう1本、今度は横向きに交差させて支柱を固定します。交差させた部分は専用テープやひもなどで固定できればOKです。縦の支柱に苗を結びつけて完成です。
芽かき
ナスは花が咲くと、その下に脇芽が生えます。脇芽は生長しすぎると栄養が分散してしまうため、適宜芽かき(脇芽を取り除くこと)をして、実に栄養分が届きやすくなるよう整えましょう。
最初の花がつき、下に脇芽が出たら、花直下の脇芽以外はすべて切り落とします。以降もどんどん脇芽は増えるため、こまめに取り除くようにしましょう。
水やり
花が咲き始めたら、毎日しっかり水やりをしましょう。水分が少ないと落花しやすくなり、取れる実が少なくなります。夜間に水分を吸うと徒長の原因になるため、水やりは朝に行うようにしてください。水分不足だと皮が硬くなるので、水切れをさせないよう、たっぷりとあげるようにしましょう。
収穫
花が咲いてから20日前後が食べごろです。実をつけたままにしておくと、株に負担がかかるため、実が10cmを越えたら早めに収穫しましょう。収穫時はかならずハサミを使い、実を傷めないようヘタを切って収穫するようにしてください。
まとめ
日差しを浴びて、日々育っていく苗を見るのは、エキサイティングでとてもわくわくするものです。ナスは花が咲きやすく、実もつきやすいため、生長を見守る楽しみや達成感を味わいやすい野菜です。大切に育てて採れた新鮮なナスは、食べてしまうのがもったいない気もしそうですね。