長雨がつづき、気持ちが沈みがちになる梅雨時。花のある風景は、そういうときに本領を発揮し、気持ちを軽やかに上げてくれます。雨に映える花、6月に開花時期を迎える花を、一緒に見ていきましょう。
梅雨に合う花々
アジサイ(紫陽花)
開花時期: 5~7月
花色:青、紫、ピンク、白
花言葉:「移り気」「浮気」「家族団らん」「辛抱強さ」
雨にしっとりと濡れた姿が初夏を感じさせるアジサイ。一見、花びらのように色づいた部分は、「装飾花」と呼ばれ、ガク(萼)にあたります。本来の花は非常に小さく、4枚のガクの中心で咲きます。
アジサイの色は、土壌のph値によって変化します。日本の土壌は酸性が強いため、アジサイは青く色づきますが、アルカリ性の土壌を持つヨーロッパ圏では赤色に染まります。
花言葉の「移り気」「浮気」は、アジサイの色が変化することに由来します。品種が増えるにつれて花言葉も変化しているアジサイは、小さな花が集まる姿から「家族団らん」、雨に耐えながら花姿を保つことから「辛抱強さ」など、ポジティブな言葉が加わってきています。
クチナシ(ガーデニア)
開花時期:6~7月
花色:白
花言葉: 「喜びを運ぶ」「とてもしあわせです」「洗練」「優雅」
沈丁花、金木犀と並び、『世界三大香木』の1つに数えられるクチナシ。純白の花が開くと、甘くかぐわしい香りがあたりを包みます。クチナシの赤い実は、消炎・鎮痛効果の高い漢方・山梔子(さんしし)としても知られています。
風に乗って香りが広がる様子から、「喜びを運ぶ」「とてもしあわせです」という花言葉が生まれたといいます。「洗練」「優雅」は、花の印象からつけられた花言葉だということです。
マンデビラ(サンパラソル)
開花時期:5~10月頃
花色:赤、ピンク、白、イエロー
花言葉:「かたい友情」
夏の暑さに負けず、鮮やかな花色で咲きほこるマンデビラ。濃い緑と花色とのくっきりしたコントラストで、南国気分を盛り上げてくれる花です。つるを伸ばして生長するため、あんどん仕立てやハンギングなど、さまざまな飾り方で楽しむことができます。
マンデビラのつるは丈夫で硬く、互いに絡み合うようにして生長していきます。花言葉は、健やかに生長するつるの様子にちなんだ言葉だといわれています。
ハナショウブ(花菖蒲)
開花時期: 6~7月中旬
花色:青、紫、ピンク、白、イエロー
花言葉:「優しい心」「優雅」
和の風情を味わわせてくれる、ハナショウブ。名前は近いものの、端午の節句で用いられるショウブとはまったく異なる植物です。アヤメ科の仲間で、花を楽しめるのがハナショウブ。すっきりとした香りの葉を持つのがサトイモ科のショウブです。ハナショウブの開花時期は長く、およそ1ヶ月間です。長い梅雨のあいだも、つぎつぎときれいな花を咲かせます。
「優しい心」「優雅」は、ハナショウブが持つまっすぐ伸びた茎と、その先で開く花の美しさに由来したものだといわれています。
クレマチス
開花時期:5~10月
花色:白、赤、ピンク、イエロー、青、茶
花言葉: 「精神の美」「旅人の喜び」
アネモネやクリスマスローズと同じキンポウゲ科に分類されるクレマチス。別名「つる性植物の女王」と呼ばれ、国内外で高い人気を誇る植物です。クレマチスのベースは日本原産のテッセンやカザグルマ。それらがガーデニングの本場・イギリスで盛んに品種改良が行われ、逆輸入の形で日本に広がったといいます。
華奢な姿に見えて生命力が強いことから、クレマチスは「精神の美」という花言葉を持っています。「旅人の喜び」は、ヨーロッパの古い風習が由来です。宿屋では玄関にクレマチスを植え、旅人が快適に泊まれる空間を提供していたといわれています。
スイレン(睡蓮)
開花時期: 5~10月
花色:ピンク、白、イエロー
花言葉: 「清純な心」「信仰」「清浄」「信頼」
水面に浮かぶようにして花びらを広げる水生植物・スイレン。花と葉が広がる風景は涼し気で、幻想的な美しさがあります。
スイレンとハスはよく似ていますが、植物学上では異なったグループに分類されます。見た目の違いとして、スイレンの花は、葉と並んで咲きますが、ハスは茎を伸ばし、空中で花を開きます。
花言葉は、スイレンが醸し出す清廉な美しさに由来してついたものだといわれています。
タチアオイ(ホリホック)
開花時期: 6~8月頃
花色:赤、ピンク、オレンジ、イエロー、紫、白
花言葉:「豊かな実り」 「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」
太くまっすぐな茎を2mほどに伸ばし、大輪の花をグラデーション状に咲かせるタチアオイ。ハイビスカスのような陽気さと、和風のしとやかさを併せ持つ魅力的な花です。
別名 『梅雨葵(ツユアオイ)』。タチアオイの花は、梅雨入りの頃に開花し、下から上へと咲き進み、てっぺんに花が咲く頃、梅雨が明けるといわれています。
「豊かな実り」「大望」「野心」は、花後のタチアオイに多くの実が生じることから。「気高く威厳に満ちた美」は、背の高い茎の先に美しい花をつけることに由来した花言葉だということです。
まとめ
雨に打たれながら咲く花の姿。花色の鮮やかさは引き立ち、香りはより濃く感じられるようです。
梅雨どきにしか見られない美しさに、ぜひ出会ってみてください。