ハーブティーや入浴剤として使われることが多いカモミール。古くから、さまざまな不調を整えるための民間療法に役立てられてきました。近年は、アンチエイジングの観点で注目を集めています。カモミールは、鉢植えひとつでも簡単に育てることが出来ます。ご自宅で育てたカモミールを使って、ハーブ生活を始めてみませんか。
カモミールの基本情報
カモミールは、キク科に分類されるハーブです。原産地は地中海沿岸。風通しがよく、ほどよく乾燥した環境で自生しています。カミツレ(加密列)という和名でも呼ばれています。
カモミールは、ジャーマン・カモミール(1年草)、ローマン・カモミール(多年草)の2種類がよく知られていますが、日本ではカモミール=ジャーマン・カモミールを指すことが多いです。どちらもキク科ですが、属するグループが異なります。ただ、花や葉の形、ハーブの薬効は類似しています。
カモミールの開花時期は5~9月。たくさん枝分かれした茎の先に、白い小さな花を咲かせます。花は同じキク科のガーベラやマーガレットに、細い糸状の葉はコスモスによく似ています。華奢な草姿をしていますが、丈夫な性質を持っているため、育てやすい植物です。
カモミールの持つ花言葉は「逆境で生まれる力」です。
ハーブとしての薬効
カモミールと人々との関わりは古く、4,000年以上前から薬草として使われていたとの事。日本に入ってきたのは江戸時代です。薬草として、ポルトガルやオランダから渡ってきたといわれています。
主な薬効
- リラックス効果
- 抗菌作用
- 抗炎症作用
- 血行促進、解熱
- 消化促進
カモミールの特徴は、りんごを思わせる甘い香りです。くせのない優しい香りをしているため、ハーブティーや入浴剤、アロマオイル、シャンプーやコスメなど、幅広い用途で使われています。
カモミールの成分・カマメロサイドには、細胞の老化を早める糖化を抑制する働きがあるといわれています。病気を防ぎ、アンチエイジング対策にもなるカモミールは、医療・美容両面で研究が進められています。
カモミールの育て方
好む環境
日当たりがよく風通しがいい場所、乾燥気味の土壌を好みます。多湿に弱いため、通年蒸れないように注意して育てるようにしましょう。夏場は直射日光を避け、涼しい日陰で夏越しをさせてあげるようにしましょう。
タネ蒔き
適期は春と秋です。寒さのやわらいだ3~4月、暑さの落ち着いた10月頃が目安です。秋に蒔くと開花時期までのゆとりがあり、株が大きく育つため、花も多くつきやすくなります。
カモミールのタネはとても小さく軽いため、風で飛ばされたり、水で流れたりしないよう、蒔いた後はごく薄く土をかけます。発芽するまでの水やりは、霧吹きを使いましょう。発芽の目安は2週間程です。双葉が出たら隣同士で触れ合わない程度に1度間引き、本葉が出てきたら再度間引きます。生長を見越して、株同士が混み合わないようにバランスを見て育てていくようにしましょう。
株から育てる場合
苗は、葉の色つやがいいもの、まんべんなく葉が茂っているものを選びましょう。茎が間延びしていたり、葉が変色したりしているものは避けた方が無難です。
植え付けの適期は、タネ蒔き同様、春と秋です。苗はビニールポットで売られていることが多いため、購入後は植え替えから始めましょう。土は、市販のハーブ用培養土が便利です。鉢の大きさは、ビニールポットより大きいものにします。プランターで複数育てる場合は、株同士が触れ合わないように距離を取って植え付けましょう。
鉢底石を敷いた鉢に、新しい土を入れておきます。ビニールポットから株を外し、根元の土を崩さないように植え付けます。隙間に土を入れて整え、水をたっぷりあげて完了です。
日々のお手入れ
多湿を防ぐため、水のやり過ぎには気をつけて育てましょう。水やりは、土が乾いたことを確認してから、根元にたっぷりと与えます。鉢底から水があふれるくらいの量が目安です。次の水やりは、また土が乾くまで待ちましょう。
葉が混み入ってきたら、適宜剪定をして風通しを確保しましょう。切った葉は、ネットやお茶パックに入れ、入浴剤として楽しむことが出来ます。
カモミールの花を収穫
花は開花したら、すぐに収穫しましょう。土や虫がついていることがあるため、ザルにのせて振り洗いをしてから使います。花が傷まないよう、水圧には注意が必要です。
長期保存する場合は、洗ってからしっかりと乾燥させます。平たいバスケットなどに並べ、風通しの良い日陰で、ときどき裏返しながら十分に水分を抜いていきます。乾燥材を入れた容器に入れて密封し、1年を目安に使い切りましょう。
まとめ
カモミールは、「植物のお医者さん」とも呼ばれています。自身が丈夫なだけでなく、近くに植えられている植物まで元気にしてくれる効果があるとされているからです。人の健康にいいだけでなく、植物にも良い影響を与えてくれるなんて不思議です。
植物は育てるだけでも、心の健康に作用します。収穫したカモミールを扱うことで、さらに元気をもらえそうですね。