アセビ(馬酔木)の花言葉

濃いグリーンの葉を覆い尽くすように、たくさんの花穂を垂らして咲くアセビ。万葉集に登場したり、晩春の季語として詠まれたりと、古来より日常に馴染み、風景を彩る花として人々に親しまれてきたことがわかる花です。春らしくやさしい色合いで目を楽しませてくれるアセビ。その花言葉を一緒に見ていきましょう。

目次

アセビの基本情報

アセビは、ツツジ科アセビ属に分類される常緑低木です。原産地は日本、中国東部、台湾など。盆栽や鉢植えのほか、庭木や生垣にも用いられることの多い花木です。

春になると、スズランのような丸みを持った小花を房状に付けて咲きます。ひとつひとつの花はささやかな大きさですが、満開になる時期は、花穂が枝葉を覆うほどに咲き誇り、まるで木々に雪が積もったような美しさを見せてくれます。新芽は光沢のある赤色をしており、こちらも花に負けず劣らずきれいです。

開花時期は2~4月上旬頃まで。白い花や、ピンク色に染まる品種もあります。

名前の由来

アセビは和名で、漢字では「馬酔木」と書きます。これは、食べた馬が、酔っぱらったような様子になることに由来しています。アセビには、アセボトキシンと呼ばれる独自成分が含まれており、口に入れると神経が麻痺してしまうほどの強い毒性だといわれています。食べると体が痺れるため、「足痺れ→アセビ」と呼ばれるようになったということです。

強い有毒性をはらんだアセビには、虫や動物を寄せ付けない効果があり、昔の人たちはそれを利用することを思いつきました。葉や枝を煎じて有毒成分を抽出し、農作物の害虫駆除などに役立てたといわれています。

ちなみに、アセビにはきれいな響きの英名もつけられています。

・『Japanese Andromeda(ヒメシャクナゲに似た花)』

…ヒメシャクナゲ(アンドロメダ=Andromeda)に似ていたことに由来

・『Lily of the valley bush(低木のスズラン)』

…スズラン(Lily of the valley)に似た花をつけること由来

アセビの花言葉

 「犠牲」「献身」

ギリシャ神話に登場するエチオピアの王女・アンドロメダの逸話が元になった言葉だといわれています。

アンドロメダの母・カシオペアは、アンドロメダの持つ美貌を誇らしく思い、娘自慢ばかりしていました。あるとき、カシオペアが「アンドロメダはネレイド(海神ポセイドンの娘たち)よりも美しい」と吹聴していたことが、ポセイドン本人の耳に届いてしまいます。怒ったポセイドンは、クジラの化身・ケートスをエチオピアに差し向けます。困ったエチオピア国王は、アンドロメダを生贄にして怒りを鎮めようとします。

国のために生贄になることを承諾したアンドロメダ。その勇気ある姿勢にちなんで、「犠牲」「献身」という花言葉がついたといわれています。

アセビの持つ『ジャパニーズ・アンドロメダ』という英名と、王女アンドロメダがリンクして、日本古来の花木に対してギリシャ神話が紐づけられたようです。

「あなたと二人で旅をしましょう」

冬が終わり、あたたかくなった頃に咲くアセビが、旅に出たいという気持ちを誘うことにちなんだ花言葉だといわれています。また、花の醸し出す優しい雰囲気が、一緒に旅をしたくなるような美しい人を連想させるため、という説もあるようです。

「純粋な心」

アセビは、白やピンク色など、清純さを喚起させる花色で咲きます。色の持つやわらかさや優しさからついた花言葉だということです。

「危険」

アセビの持つ有毒性にちなんだストレートな花言葉です。

ツツジ科の花言葉

アセビと同じく、ツツジ科に分類される花々とその花言葉です。

アザレア

花言葉:「節制」「禁酒」「恋の喜び」

開花時期:4~5月

カラーバリエーション:赤・ピンク・白・紫

アザレアは、ヨーロッパを中心に改良された室内観賞用ツツジの総称です。目を惹くあでやかな花色が特徴的な春の花です。

エリカ

花言葉: 「孤独」「寂しさ」「博愛」「良い言葉」

開花時期:11~4月

カラーバリエーション: ピンク・白・赤・紫・オレンジ・黄

荒野で自生するため、ヒース(Heath=荒野)とつけられた花です。「嵐が丘」「秘密の花園」など、文学を飾る風景に登場する花でも知られています。

シャクナゲ(石楠花)

花言葉:「威厳」「荘厳」「危険」

開花時期:4~5月

カラーバリエーション:ピンク、白、黄、赤、紫

伸びた枝先に、まとまって花をつけるシャクナゲ。華やかで目立つ花姿が特徴です。毒があることから「危険」という花言葉がつけられています。

ツツジ

花言葉:「節度」「慎み」

開花時期:4~5月

カラーバリエーション:赤、白、ピンク、紫、オレンジ、黄

開花時期に一斉に花をつけるツツジ。連なって咲く様子から、「続き→ツツジ」に転訛したといわれます。また、花の中央が筒状になっていることから「ツツジ」の名前がついたという説もあります。

ブルーベリー

花言葉:「実りのある人生」「知性」

開花時期:4~5月(結実7~8月)

甘酸っぱい果実が美味しいブルーベリー。アセビの花姿とブルーベリーはよく似ています。白くかわいらしい花を咲かせた後、夏には果実をたくさんつけることに由来して、「実りのある人生」という花言葉が生まれたそうです。

まとめ

あたたかくなってくると、ゆっくり表を歩く散歩もいいものです。アセビは、生け垣や公園など、意外と身近なところで植えられています。散策がてら、咲いたアセビの花を探してみてください。小ぶりな花ですが、ひとつひとつが精巧なつくりもののようで、なんだか目が離せない美しさがつまっていますよ。

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