ヘーベという花をご存知でしょうか。小さいながらに鮮やかな房状の花を咲かせる、オオバコの仲間です。ヨーロッパでは観賞用として人気が高く、広く栽培されています。惜しみなく咲く花と、季節によって変わる葉色が魅力的なヘーベの花言葉をご紹介します。
基本情報
オオバコ(ゴマノハグサ)科ヘーベ属に分類されるヘーベ。ニュージーランドやオーストラリアを原産とする多年草の1種です。古くからヨーロッパを中心に、観賞用と親しまれてきた花であり、品種改良によってさまざまな花色や模様を持つ園芸品種がつくられています。
和名では、トラノオノキ(虎の尾の木)。花が、虎の尻尾のように長く伸びて咲くことからつけられたといいます。観葉植物・サンスベリアにも、トラノオ(虎の尾)という和名がつけられていますが、花の特徴をうたったヘーベとは異なり、こちらは葉の縞模様にちなんだ名前となっています。
ヘーベの花と葉
開花時期は3~5月頃。ひとつひとつの花は7mm前後と小さいですが、これらが茎を囲むように密集し、2~4cmほどの房状になって咲きます。
ヘーベの花色は、白、薄いブルー、赤紫、ピンクなど。濃い色で広がる葉には光沢があり、花とのコントラストがきれいです。開花時期には、茂った葉の上に花色が浮かび上がり、映えてくれます。
多年草のヘーべは、葉の変化も見どころです。秋から冬にかけ、気温が下がる季節になると、緑だった葉は徐々に紅葉していきます。花が終わった後も楽しめる表情の変化には注目です。
ヘーベの花言葉
ヘーベという花名は、ギリシャ神話に登場する女神・ヘーベー(hebe)が由来だといわれています。ヘーベーは、神々の王・ゼウスとヘラの娘であり、英雄・ヘラクレスの妻でもあります。
ヘーベの花言葉は、女神ヘーベーにちなんだ言葉がつけられています。
「青春」
ヘーベーは青春の女神と呼ばれ、「若さ」「青春」が神格化されたものだと伝えられています。そのため、女神と同じ名前を持つヘーベの花にも、「青春」の花言葉がつけられました。
「永遠の命」
女神ヘーベーは、神話内では不死や若さの象徴として、神々の宴席における給仕係を担っていました。神々が若さを保つために、不死に効くお酒を提供していたといいます。彼女がいなくなった際、神々がつぎつぎと年老いて死んでしまったことに由来した花言葉だということです。
ヘーベには、他に「影の努力者」「たゆまぬ努力」といった花言葉もつけられています。
ヨーロッパ圏では、ヘーべの花は、女神に縁があること・縁起の良い意味を持つことから、お祝い事に贈られることも多い花のようです。
オオバコ科の花言葉
ヘーベと同じ、オオバコ科の植物の花言葉です。
オオバコ …「足跡」「足跡を残す」「耐え忍ぶ愛」
開花時期:4~9月
カラーバリエーション:白、ピンク、薄紫
道端で見かけることも多いオオバコ。ロゼット状に葉が広がり、短い茎を伸ばし、小さな穂状の花を咲かせます。
生命力が強く、踏みつけられても負けないことに由来した花言葉だといわれています。
キンギョソウ …「おしゃべり」「騒々しい」「推測ではやはりNO」
開花時期:3~6月頃、9~11月頃
カラーバリエーション:赤、ピンク、白、オレンジ、黄、ワインレッド、複色
地中海沿岸を原産とするキンギョソウ。まっすぐ伸びた茎を囲むようにして、丸くふくらんだ花を多数つけます。別名はスナップドラゴンです。
咲いた花がたくさんの口のように見えることから、おしゃべりにちなんだ花言葉がつけられています。
リナリア …「この恋に気付いて」「幻想」
開花時期:3~7月
カラーバリエーション:赤、白、ピンク、黄、紫
キンギョソウを小さくしたような、かわいらしい花を咲かせるリナリア。和名では、ヒメキンギョソウ(姫金魚草)とも呼ばれています。
花の様子が、少女のように繊細な姿をしていることからついた花言葉だということです。
ジギタリス …「不誠実」「熱愛」
開花時期:5~6月
カラーバリエーション:白、ピンク、紫
ツリガネに似た花をグラデーション状に咲かせるジギタリス。花が手袋の先のようにみえることから、狐の手袋(Foxglove)とも呼ばれています。
花言葉はギリシャ神話由来です。ゼウスの妻・ヘラが興じていたサイコロ遊びのサイコロが、地上でジギタリスの花になったという逸話が元になっています。
オオイヌノフグリ …「忠実」「信頼」「清らか」
開花時期:2~5月
カラーバリエーション:青、紫
ミニチュアのように小さな花を咲かせるオオイヌノフグリ。花は小さくても、爽やかな青さが目を惹きます。別名では、聖女・ヴェロニカの草。
刑場に向かう途中のキリストに、汗をぬぐうためのハンカチを捧げたヴェロニカにちなんだ花言葉がつけられています。
まとめ
ギリシャ神話やキリスト教と花言葉とは、たびたびリンクし、古来より深いつながりがあったことがうかがえます。ヘーベの花もそのひとつ。いったいいくつの花が、神様の元から生まれたのでしょうか。花言葉を知ることで、花が持つドラマや誕生した背景まで見えてくるのが興味深いですね。