花はそれぞれ、気持ちを表現する「花言葉」を持っています。贈り物でお花や観葉植物を選ぶ際、花言葉を参考になさることも少なくないのではないでしょうか。植物が持つ花言葉には、様々な意味やバックグラウンドが秘められています。
感受性豊かな花言葉の数々。そもそもの花言葉の由来について、掘り下げてみましょう。
花言葉とは?
一般的に、「花言葉=その植物に象徴的な意味を持たせるためにつけられた言葉」とされています。たとえば、春の切り花でよく見かけるガーベラは「希望」、スイートピーであれば「優しい思い出」という花言葉を持っています。
花言葉のルーツは諸説ありますが、花を贈り花で返礼する、アラビア地方のセラムといわれる風習が元になったといわれています。セラムは、花束の花に伝えたい思いを託して相手に送り、それを受けた相手が花で返事をする、花を使ったコミュニケーションのようなものです。
17世紀頃に盛んだったセラムは、ヨーロッパに持ち込まれたのち、花言葉文化として定着したのが18~19世紀頃。そこから日本に花言葉が伝えられたのが19世紀末、明治初期の頃のことだといわれています。
花言葉が意味深だったり、細かくて微妙なニュアンスだったりするのは、元々は「花を贈り合う=対話」だった名残なのでしょうか。
花言葉の由来とは?
その植物に、なぜその意味の花言葉がつけられたのか。由来は、植物によってそれぞれ異なっています。花の特徴や性質をとらえた花言葉であればわかりやすいですが、そうとも限りません。一見して、なぜその意味になったのかがわからない花もたくさんあります。
- ギリシャ・ローマ神話に登場したことから。
- 宗教的なモチーフとして扱われていたから。
- 歴史的な出来事のそばに咲いていたから。
- 文化や習慣から。
- 花がつくられた理由から。
植物につけられた名前同様、花言葉にも歴史があり、調べれば調べるほどエピソードも多いため、花言葉は興味深いのです。
日々更新される花言葉
ひとつの花にはたいてい、いくつもの花言葉がつけられています。素敵な意味合いの言葉もあれば、なかには手に取るのをためらってしまいそうなくらい怖い花言葉も。なぜこれほど、同じ花の中で感情表現に幅があるのでしょう。
理由は、西洋の花言葉と日本独自の花言葉が共存しているためだと推測されます。
花言葉文化を築き、広めたのはヨーロッパだといわれていますが、最初につけられた意味が固定されているわけではありませんでした。同じヨーロッパでも、イギリスとフランスでは、ニュアンスの異なる花言葉が用いられることもめずらしくありません。日本でも、花言葉が入ってきた当初は元の意味をそのまま使っていましたが、徐々に日本の文化や歴史になじんだ表現に変わっていった経緯があります。
また、お花は品種改良によって新しく生まれ出ていきます。その際、開発者や生産者が新しく花言葉をつくったり、新品種の花言葉を公募によって決めたりするため、どんどん歴史の浅い花言葉が増えていきます。本に載っていない花言葉は、比較的新しい花言葉の可能性があります。
花言葉は、その土地ならではの文化を織り交ぜながら日々アップデートされていく、自由度の高い言葉だといえそうです。
実は“野菜”にも花言葉がある!?
普段食べている野菜にも、花言葉がつけられているのをご存知でしょうか。野菜も実がなるまえは花をつけます。花が咲くものには花言葉がついているのですね。野菜言葉、という表現もあるようです。
野菜の花言葉には、どんなメッセージが込められているのでしょう。
野菜の花言葉10選
- ジャガイモ …「恩恵」
- ナス …「つつましい幸福」
- ニンジン …「幼い夢」
- キュウリ …「洒落」
- タマネギ …「不死」
- トウモロコシ …「財宝」
- ブロッコリー …「小さな幸せ」
- レンコン …「神聖」
- トマト …「完成美」
- エダマメ …「幸せは必ず訪れる」
これら以外にも、「エリンギ=宇宙」、「ピーマン=海の恵み」など、なぜその言葉がつけられたのか、不思議かつユニークな言葉がたくさんあります。野菜の花言葉に思いを馳せつつ、食事をつくってみるのも楽しそうです。
花言葉に正解はない
たくさん花言葉があると、どれに重きをおいたらいいか迷ってしまいそうですよね。
花言葉には、正解がありません。というより、どれも正解だといえるからです。
国が違えば言葉が変わるように、花言葉には文化や習慣・習性が反映されます。あちらの国では良いとされていることが、こちらの国では解釈がまったく異なるということがあります。
「どれがいいかわからないから、良いものを信じる」というくらい、軽やかな気分で取り入れてみるのがおすすめです。
まとめ
花言葉というジャンルの深さや幅広さには、目をみはるものがあります。日本の出来事にちなんだ言葉がつけられていると、その花が日本の固有種であることもわかったりします。
贈り物でお花を選ぶとき、花言葉を気にしすぎると、何も選べなくなってしまいそうです。花言葉を楽しく参考程度に気にかけながら、そのときどきの季節のお花や、ご自身がきれいだと思ったものを贈ることをおすすめします。